1注文=1票、街の食堂が決勝へ──GrabFood『最強の店』

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ベトナムで料理がそのまま「対戦」する大会が決勝を迎えています。GrabFoodが第2回として開催した「最強の店(Quán đỉnh)」は、注文1件をそのまま1票に換算する全国規模のグルメ対決。全国18の省・市から7,000店を超える飲食店が参加し、米・麺・バインミー・ドリンクの4部門で頂点を争いました。決勝に勝ち上がった店は、試合の日には注文が通常の3〜4倍に跳ね上がったと言います。ベトナム好きの読者にとってこれは単なる現地ニュースではありません。決勝に残った実名店は、次の旅で「ハズレなく」食べられる店の有力なショートリストになります。本記事では大会の中身を整理しつつ、旅行者がこの店をどう見つけて注文するかまで踏み込みます。

目次

「料理が対戦する」大会、その仕組み

「最強の店」は、審査員の採点や専門家投票ではなく、利用者が実際に出した注文の数で勝敗が決まる方式を取っています。GrabFood上で1注文が1票としてカウントされ、同じ部門の店同士が票数で競い合う構造です。店側は自分たちの看板メニューを選んで出場します。地域・県レベルの予選を約3か月かけて勝ち抜くと、省をまたいだ上位ラウンドへ進み、最終的に全国決勝に到達します。

決勝に残ったのは4部門あわせて8代表。ハノイの「Bánh Mì Sài Gòn」がバインミー部門の、自家製タピオカチーズティーの「Ú Milk Tea」がドリンク部門の決勝に進んでいます。結果の発表は6月末から7月初旬にかけて段階的に行われる予定です。

なぜ第2回が注目されるのか

この大会の新しさは、グルメコンテストの評価軸を「権威ある審査」から「日々の注文という生活者の行動」へ置き換えた点にあります。テレビ番組やミシュランのような第三者評価ではなく、実際に財布を開いた人の数がそのまま順位になる。屋台や町の食堂のように、味で評判を取りながらも全国的な知名度はなかった店にとって、これは初めて全国の土俵に立てる仕組みでした。

GrabFoodがこの形式を2年連続で回しているのは、参加店の売上を底上げしながらプラットフォーム自体の注文数も増やせる、両取りの設計だからです。店は大会期間中に通常では届かない層へ露出し、ユーザーは「投票がてら名店を試す」体験を得る。結果として注文総数が積み上がる流れになっています。

数字で見る今回の大会

裏取りできた数値だけを並べます。誇張せず、複数の現地媒体で一致した範囲にとどめます。

項目 内容
開催回 第2回(2年連続)
参加店舗 7,000店超
対象エリア 全国18省・市
部門 米・麺・バインミー・ドリンクの4部門
決勝進出 各部門2店ずつ計8代表
投票方式 1注文=1票
決勝店の売上 通常比+20%、試合日は通常の3〜4倍(Bánh Mì Sài Gòn)

「Bánh Mì Sài Gòn」の店主は、大会参加後の売上が普段より約2割増え、試合の日には3〜4倍に達したと話しています。3〜4倍という数字は瞬間的なピークであって毎日続くものではない点は割り引いて読む必要がありますが、無名だった町の店が一夜にして注文殺到を経験したという意味では、プラットフォーム露出のインパクトを示しています。

現地と業界の受け止め

決勝に進んだ店主たちの反応は、勝ち負けより「運営の作り込み」に向かっています。「Bánh Mì Sài Gòn」の店主は、注文が一気に増える試合日のオペレーションをどう回すかが勝負だったと振り返ります。ドリンク部門の「Ú Milk Tea」の経営者は、決勝に向けて配送の最適化と顧客とのつながり強化に集中すると語っています。注文数=票数という設計上、味だけでなく「品切れを出さない」「配達を遅らせない」店ほど票を伸ばしやすい構図です。

業界側から見ると、ベトナムの宅配フード市場は2025年に約28億ドル規模に達し、GrabFoodとShopeeFoodの2強で市場のおよそ9割を占めるとされます。GrabFoodはホーチミン市で約5割、ShopeeFoodはハノイで約6割を握るとの調査もあり、地域ごとに勢力が割れています。こうした拮抗のなかで、店の売上を直接押し上げる企画は、加盟店をつなぎ留めるための実利的な一手と読めます。

旅行者へのヒント:この大会を「店選び」に使う

ここが旅行者にとっての本題です。観光ガイドの星付きリストと違い、「最強の店」の上位はベトナムの一般生活者が日常的にお金を払って選んだ店です。つまり、現地の人が普段使いしている本物の人気店をあぶり出す装置として使えます。

具体的な動き方は次の通りです。まずベトナム滞在中にスマホへGrabアプリを入れ、現地のSIMかeSIMでデータ通信を確保します。GrabFoodの画面でバインミーやミルクティーといった部門ごとの人気店を探すと、注文数の多い店が上位に出てきます。決勝に名前が挙がった「Bánh Mì Sài Gòn」のような店は、店名でそのまま検索すれば見つけやすいはずです。バインミーは日本でも知名度が上がっており、たとえばセブン-イレブンがバインミーを展開した話題を入口にして、現地の本場の味と比べてみるのも面白い旅の組み立てになります。

ドリンク部門が独立した部門として成立していることからも分かる通り、ベトナムのカフェ・ティー文化は外食の主役の一つです。チェーンの定番を押さえたいなら全国に広がるハイランズコーヒー、町歩きで名店を探したいならミシュランに載ったサイゴンの店を巡るルートと、GrabFoodの人気店をかけ合わせると、観光客向けと地元向けの両方を体験できます。

屋台×プラットフォーム経済という構造

この大会が映し出しているのは、ベトナムの屋台・町食堂とデリバリープラットフォームの関係が「相乗り」の段階に入ったことです。かつて屋台の強みは立地と口コミでした。決まった通りの決まった時間にいる常連に支えられ、商圏は半径数百メートルに限られていました。プラットフォームに乗ると、その商圏は配達範囲まで一気に広がります。「最強の店」はその露出効果を、大会という形でわざと最大化して見せた実験とも言えます。

ただし手放しで良い話ばかりではありません。注文数で順位を競う設計は、資金力のある店が割引やクーポンで注文を積み増せる余地を残します。デリバリー手数料の負担も小さな店には重く、売上が3〜4倍に増えても利益が同じ比率で増えるとは限りません。瞬間的な注文急増にオペレーションが追いつかず、品質や評価を落とすリスクもあります。旅行者として大会の結果を店選びに使うときは、「順位が高い=票を集める仕組みに強い」ことであって、必ずしも「自分の好みに合う一番おいしい店」ではない、という距離感を持っておくと判断を誤りません。

実用情報・関連リンク

ベトナムでGrabFoodを使うときの実務メモを整理します。アプリは英語表示に切り替えられ、店名や料理名は現地語のままでも検索できます。支払いはGrabPayや現金が選べ、ホテルや滞在先の住所をピンで指定すれば配達してもらえます。屋台系の店は営業時間が短いことも多いので、食べたい店は午前から昼にかけて狙うのが無難です。

まとめ:次の旅で試す3ステップ

GrabFoodの「最強の店」は、現地生活者の注文という生のデータで人気店をあぶり出す仕組みでした。旅行者にとっての価値は、ガイドブックに載る前の「地元で実際に支持されている店」を先回りで知れる点にあります。次の旅では、(1)到着前にGrabアプリとデータ通信を準備し、(2)滞在先でバインミーやドリンクの人気店、そして決勝に名前が挙がった「Bánh Mì Sài Gòn」のような実名店を検索し、(3)順位の高さだけで決めずに口コミと写真も見て選ぶ。この3ステップで、観光地の有名店だけでなく町に根ざした名店まで射程に入ります。料理が「対戦」する国ならではの楽しみ方を、ぜひ次の一杯・一個から試してみてください。

参照元

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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