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ベトナムのカフェをもっと知りたい方は、Every Half Coffee Roastersのギャラリーページもあわせてご覧ください。
ベトナムのコーヒーシーンに精通した人なら、The Coffee Houseという名前を聞いたことがあるでしょう。ベトナム全土に数百店舗を展開する巨大カフェチェーンを築き上げた伝説的な起業家、グエン・ハイ・ニン氏。その彼が次に手がけたプロジェクトこそ、Every Half Coffee Roasters(エブリーハーフ・コーヒーロースターズ)です。
Every Halfの物語は2016年に始まります。共同創業者のチャン・レ・ミン・チュック氏は、コーヒー業界で10年以上の経験を持つプロフェッショナル。かつてUrban Station CoffeeやThe Coffee Houseといった、グエン・ハイ・ニン氏が立ち上げたブランドで腕を磨いてきた人物です。当初はオンラインプラットフォームとしてスタートし、コーヒー愛好家たちにベトナム産スペシャルティコーヒーの魅力を発信していました。
2021年、Every Half Beanから「Every Half」へとリブランディングし、ホーチミン市に初のカフェ兼ロースタリーをオープン。ここから本格的なカフェチェーンとしての歩みが始まりました。現在ではホーチミン市内に8店舗を展開し、ビンアン・ワーフ(トゥードゥック市)、グエン・ヴァン・トゥー通り(1区)、ファム・ゴック・タック通り(3区)など、市内の一等地に店舗を構えています。
シンガポールのベンチャーキャピタル、DSGコンシューマー・パートナーズからの投資も受けており、ベトナム発のスペシャルティコーヒーブランドとしてグローバル展開への道を着実に歩んでいます。大量生産型のチェーン店とは一線を画す、品質にこだわったコーヒー体験——それがEvery Halfの目指す世界です。
Every Half Coffee Roastersは、ベトナム産コーヒー豆の可能性を最大限に引き出すメニューが揃っています。スペシャルティコーヒーの本格的な味わいを、ベトナムの価格で楽しめるのが最大の魅力です。
シングルオリジン・プアオーバー
Every Halfの真骨頂とも言えるメニュー。ダラットやバンメトートなど、ベトナム各地の農園から厳選された豆を一杯ずつハンドドリップで淹れます。豆の産地や精製方法によって異なるフレーバーノートを楽しめるのが醍醐味です。65,000〜85,000VND(約390〜510円)。日本のスペシャルティコーヒーショップなら1,000円以上するクオリティを、半額以下で味わえます。
エスプレッソ・ベースドリンク
ラテ、カプチーノ、フラットホワイトなどの定番メニューも、Every Halfの手にかかれば別格の仕上がり。自家焙煎の豆を使用しているため、一般的なチェーン店とは比べものにならない香りと深みがあります。55,000〜75,000VND(約330〜450円)。
コールドブリュー
長時間かけて水出しした滑らかなコーヒー。ベトナムの暑い気候にぴったりの一杯です。雑味が少なく、豆本来のフルーティーな風味が際立ちます。55,000〜70,000VND(約330〜420円)。
ベトナミーズ・ロブスタ・スペシャルティ
ベトナムといえばロブスタ種が有名ですが、Every Halfはそのロブスタを「スペシャルティグレード」に昇華させることに挑戦しています。従来の「苦くて濃い」というイメージを覆す、クリーンで複雑な味わいのロブスタコーヒーは、コーヒー好きなら一度は試す価値があります。60,000〜80,000VND(約360〜480円)。
季節のクリエイティブドリンク
定番メニューのほかに、季節ごとに変わるクリエイティブドリンクも見逃せません。ベトナムのフルーツを使ったコーヒーカクテル風ドリンクなど、他のカフェでは出会えないユニークな一杯に出会えることもあります。
Every Halfが他のベトナムカフェチェーンと決定的に異なるのは、スペシャルティコーヒーへの徹底したこだわりです。ベトナムは世界第2位のコーヒー生産国でありながら、その大半は大量生産型のロブスタ種。しかしEvery Halfは、ベトナム産コーヒー豆のポテンシャルを世界に証明するという使命を掲げています。
店内に併設されたロースタリーでは、生豆の選定から焙煎まですべてを自社で管理。ダラット高原やソンラー省など、ベトナム各地の小規模農家から直接仕入れた高品質な豆を使用しています。気候変動に対応した持続可能な農業にも取り組んでおり、コーヒーの味だけでなく、その生産過程にもストーリーがあります。
店舗のデザインも、スペシャルティコーヒーの世界観を体現しています。グエン・ヴァン・トゥー通りの店舗は、ミニマルでモダンな空間に焙煎機が鎮座し、コーヒーが焙煎される過程を間近で見ることができます。豆の産地情報やフレーバーノートが丁寧に記載されたメニューボードは、まるでワインバーのテイスティングノートのようです。
バリスタの技術力も高く、豆の特性に合わせた抽出方法を選択。プアオーバー、エアロプレス、サイフォンなど、さまざまな抽出器具を使い分けています。注文時にバリスタに好みを伝えれば、最適な一杯を提案してくれるでしょう。英語が通じるスタッフも多いので、コーヒー談義を楽しむこともできます。
日本のサードウェーブコーヒーに馴染みのある方なら、Every Halfのクオリティにきっと感動するはず。そして、それがベトナム産の豆で実現されていることに、この国のコーヒー文化の奥深さを感じることでしょう。
アクセス
8店舗すべてがホーチミン市内に位置しています。観光客にアクセスしやすいのは、1区のグエン・ヴァン・トゥー通り店(217 Nguyen Van Thu)とゴー・ヴァン・ナム通り店(19A Ngo Van Nam)。ともにドンコイ通り周辺から徒歩圏内です。
予算の目安
ドリンク1杯は55,000〜85,000VND(約330〜510円)。プアオーバーやスペシャルティメニューはやや高めですが、日本のスペシャルティコーヒーショップの半額以下で楽しめます。フードメニューも45,000〜75,000VND(約270〜450円)程度です。
おすすめの過ごし方
まずはシングルオリジンのプアオーバーを注文し、バリスタとコーヒーについて語り合ってみてください。豆の産地や精製方法について丁寧に教えてくれます。焙煎の様子を見学しながら飲むコーヒーは格別です。
お土産にコーヒー豆
Every Halfでは自家焙煎のコーヒー豆も販売しています。ベトナム産スペシャルティコーヒーの豆をお土産に持ち帰れば、帰国後も旅の味を楽しめます。200gで150,000〜250,000VND(約900〜1,500円)程度です。
営業時間
多くの店舗が7時〜22時の営業。平日の午前中はゆったりとした雰囲気で、じっくりコーヒーと向き合えます。週末は混雑することもあるため、早めの時間帯がおすすめです。
Every Half Coffee Roastersは、ベトナムのコーヒー業界を牽引してきた起業家たちが生み出した、次世代のスペシャルティコーヒーブランドです。The Coffee Houseで培ったチェーン展開のノウハウと、スペシャルティコーヒーへの純粋な情熱が融合した、唯一無二の存在といえるでしょう。
ベトナム産コーヒー豆の新たな可能性を追求するEvery Halfは、コーヒー好きの旅行者にとって見逃せないスポットです。一杯のコーヒーを通じて、ベトナムのコーヒー産業が向かう未来を垣間見ることができる——そんな知的好奇心を満たしてくれるカフェ体験が、ここにはあります。
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