ハノイがビアホイ(1杯60円の生ビール)の街なら、ホーチミンはクラフトビールの街です。アメリカ人やベトナム人の醸造家が2010年代に相次いで醸造所を立ち上げ、いまでは東南アジア屈指のクラフトビールの街とも呼ばれます。
この記事では、実際にGoogleマップの評価で裏を取ったうえで、ホーチミンで訪れる価値のある醸造所直営店・タップルームを厳選して紹介します。エリアごとの回り方や、ハノイのクラフトビールとの違いまで、旅の計画にそのまま使える形でまとめました。
なぜホーチミンは「東南アジアのクラフトビール首都」なのか
ベトナムのビールは長らく、Saigon や 333 といったローカル大手のラガーが中心でした。その中で早くから自家醸造の生ビールを出していたのが、チェコ式ブラウハウスの Hoa Viên です。そして流れを一気に加速させたのが、2010年代半ばにホーチミンで相次いで生まれた醸造所でした。
決め手になったのは、ベトナムならではの原料でした。パッションフルーツ、ジャックフルーツ、コーヒー、レモングラス、蓮といった地元の素材をホップと組み合わせ、ここでしか飲めない味を打ち出したのです。
- アメリカ発のスタイルを軸に、多国籍の醸造家(Pasteur Street はアメリカ人創業、East West はベトナム人の Loc Truong 氏が創業)が本格設備で参入した
- ベトナム産のトロピカルフルーツやスパイスを使った、土地に根ざしたレシピが評価された
- Lý Tự Trọng(リー・トゥ・チョン)通り(1区)を中心に、醸造所とタップルームが徒歩圏に集まり、飲み比べしやすい
ラガー中心の南部で、なぜクラフトが根づいたのか。その土台には、Saigon ビールに代表されるベトナムのビール文化そのものの厚みがあります。
まず知っておきたい、ベトナムのクラフトビアスタイル
ベトナムのクラフトビールの面白さは、欧米のスタイルをただ真似るのではなく、地元の素材で「ここにしかない味」に仕立てているところにあります。注文の前に、代表的なスタイルを知っておくと選びやすくなります。
| Style | 特徴と使う素材 | 代表例 |
|---|---|---|
| ジャスミンIPA | 花の香りをまとった、苦みひかえめのIPA | Pasteur Street の看板 |
| フルーツ系エール | パッションフルーツやドラゴンフルーツの酸味と甘み。軽快で飲みやすい | Passionfruit Wheat Ale |
| コーヒー/カカオのスタウト | ベトナム産コーヒー・カカオを効かせた濃厚な黒ビール | Cyclo Imperial Chocolate Stout |
| ハーブ系ブロンド/エール | レモングラスなどのハーブで、暑い日でも軽やかに飲める | 各醸造所の季節限定など |
| ピルスナー/ダークラガー | チェコ式の麦芽感。ホップは控えめでコクを楽しむ | Hoa Viên |
| サワーエール | 酸味を効かせた実験的な一杯。小ロット限定が多い | Heart of Darkness ほか |
迷ったら、まずはジャスミンIPAやフルーツ系エールから。ベトナムらしさが最もわかりやすく、クラフトが初めてでも入りやすい入り口です。
まず行くべき、醸造所が直営するブルワリー
クラフトビールが初めてなら、まずは醸造所が手がける直営店に行くのがおすすめです。造り手の意図どおりの状態で、その醸造所の看板ビールを味わえます。
Pasteur Street Brewing ── ホーチミンの代名詞
2015年創業。アメリカの醸造技術とベトナム産の素材を掛け合わせたレシピで数々の国際賞を受け、ホーチミンのクラフトビールといえばこの名前が挙がります。これまでに200種類以上のビールを生み出し、全国の飲食店にも卸しています。
看板は、次の3本。クラフトが初めてでも、この3つを飲めばベトナムクラフトの幅がつかめます。
- Jasmine IPA:ジャスミンの花を効かせた、香り高いIPA
- Passionfruit Wheat Ale:パッションフルーツの甘酸っぱさが軽やかなウィートエール
- Cyclo Imperial Chocolate Stout:アルコール13%の濃厚なチョコレートスタウト。少量でじっくり
- 評価:★4.8 / 4,784件(本店・2026年7月時点)
- 本店:144/3 Pasteur, 1区(路地の奥にある隠れ家的な店)
- 市内に複数店舗。Metropole や Sala(2区)のタップルームでも飲めます
East West Brewing ── 広々としたビアホール
1区の中心にある、大型のビアホール併設ブルワリー。店の奥の大きなタンクで醸造していて、造りたてを8種類ほど飲み比べできます。食事メニューも充実していて、グループや食事を兼ねた一杯に向いています。
- 評価:★4.7 / 4,853件(2026年7月時点)
- 住所:181–185 Lý Tự Trọng, 1区
- 醸造設備を見ながら飲める、開放的な空間
Heart of Darkness ── 冒険的なレシピ
2016年創業。定番から季節限定まで幅広く、実験的なビールを次々と出すことで知られます。ピザやハンバーガーなどフードの評判も高く、しっかり食べながら飲めます。
- 評価:★4.6 / 3,707件(2026年7月時点)
- 住所:31D Lý Tự Trọng, 1区
- East West と同じ通り沿い。2軒を続けて回れます
Hoa Viên Craft Brewery ── チェコ式の草分け
アメリカ系のクラフトが広まるよりも前から、チェコ式の生ビールを自家醸造してきた老舗ブラウハウスです。トロピカル系のIPAとは対照的に、ピルスナーとダークラガーの2本柱。麦芽の甘みとコクをじっくり味わうタイプで、ソーセージなどチェコ料理と合わせて飲めます。
- 評価:★4.2 / 2,891件(本店・2026年7月時点)
- 住所:Hẻm 18 Bis, Nguyễn Thị Minh Khai, ダカオ(1区)
- タンビン区にも支店あり。IPA続きで舌が疲れたときの「箸休め」にも
品揃えで選ぶなら、マルチタップと専門店
特定の醸造所にこだわらず「いろいろ飲み比べたい」なら、複数ブランドをそろえるマルチタップ店が便利です。ベトナム各地のクラフトを一度に試せます。
| Shop name | Type | Characteristics | Googleマップ評価 |
|---|---|---|---|
| BiaCraft(Lê Ngô Cát) | マルチタップ | 市内屈指の品揃え。常時50種前後がタップに並ぶ(3区) | 4.6 / 2,718件 |
| 7 Bridges Saigon | ブルワリー/タップ | ダナン発の醸造所のサイゴン店。Đông Du 通り(1区) | 4.7 / 666件 |
| Steersman Brewery | ブルワリー | Phạm Viết Chánh 沿いの醸造所。落ち着いて飲める | 4.8 / 384件 |
| Rooster Beers(Tiệm Bia Gà) | Taproom | バックパッカー街 Bùi Viện の一角。気軽な一杯に | 4.7 / 278件 |
Rooster Beers は、ブロンド・ペールエール・ダーク・ウィット・IPA・ピルスナーの6スタイルを自前でそろえていて、飲み比べの入門にちょうどよい構成です。
BiaCraft と 7 Bridges は、ベトナム全国のクラフトを俯瞰したいときの拠点にもなります。Rooster Beers があるのは、夜通しにぎわうナイトライフの中心 Bùi Viện(ブイビエン)通り。ハシゴのついでに立ち寄れます。
How to get around by area
ホーチミンのクラフトビールは、1区の一角に集中しています。歩いて回れる範囲に名店が固まっているのが、この街の強みです。
| Area | 主な店 | こんな人に |
|---|---|---|
| Lý Tự Trọng 通り周辺(1区) | East West / Heart of Darkness | 2軒を徒歩で連続。クラフト初日はここから |
| Pasteur 通り周辺(1区) | Pasteur Street 本店 | 路地裏の隠れ家で、賞を獲ったレシピを |
| Bùi Viện(1区) | Rooster Beers | ナイトライフのハシゴに組み込む |
| 3区 / ビンタイン区 | BiaCraft / Steersman | 品揃え重視、落ち着いて飲みたい |
ホーチミンの街そのものの歩き方はホーチミンのエリアガイドに、飲んだ後の締めや食事はベトナムの食べ物ガイドis a useful reference.
1日で巡る、クラフトビール2コース
店が近い分、うまく組めば1日で数軒を回れます。目的別に、実際に歩ける2つのコースにまとめました。
王道コース ── 1区を徒歩でハシゴ
食事もしっかり摂りながら、飲み比べを楽しみたい人向け。移動はほぼ徒歩で完結します。
- 夕方:East West Brewing で食事を兼ねて、造りたてを数種類。ビアホールなので最初の1軒に向いています
- そのまま徒歩:同じ Lý Tự Trọng 通りの Heart of Darkness へ。実験的な一杯で口直し
- 夜:Bùi Viện に移動して Rooster Beers で軽く締める
じっくりコース ── 味の幅を楽しむ
スタイルの違いをじっくり味わいたい人向け。ラガーから受賞ビール、全国のクラフトまで一気に。
- 昼下がり:Hoa Viên でチェコ式ピルスナーを軽く一杯。重くならずに始められます
- 夕方:Pasteur Street 本店(Pasteur 通り)で、Jasmine IPA など受賞レシピを
- 夜:3区の BiaCraft へ。常時50種前後のタップから、全国のクラフトを飲み比べ
どちらのコースも、店の合間はGrabなどの配車アプリを使えば移動で疲れません。飲む日は無理に詰め込まず、2〜3軒に絞るとちょうどよいペースです。
ハノイのクラフトビールとの違い
同じベトナムでも、北と南でクラフトビールの楽しみ方は変わります。旅程に両方を組み込むなら、違いを知っておくと回りやすくなります。
| ホーチミン(南) | ハノイ(北) | |
|---|---|---|
| the lead role | 醸造所直営のブルワリー・タップ | ローカルブランド+ビアホイ文化 |
| Flavor tendency | トロピカルフルーツ系のIPAが豊富 | 独立系ブランドが小規模に点在 |
| 集まり方 | 1区に名店が徒歩圏で集中 | 旧市街のビアホイと併せて楽しむ |
| 合わせる文化 | ビアホール+フード | ビアホイ(格安生)との二段構え |
ハノイ側はthe complete Hanoi craft beer guideに、1杯60円の生ビール文化はビアホイ完全ガイドにまとめています。
予算・注文・楽しみ方のコツ
観光客が押さえておきたい実用的なポイントを、最後にまとめます。
- Budget:クラフト1杯はおおむね 90,000〜160,000 VND(約530〜940円)。ローカルのラガーより高めですが、飲み比べ用の小さいサイズを置く店も多いです
- orders:迷ったら「フライト(テイスティングセット)」を頼むと、数種類を少量ずつ試せます
- Time slot:夕方からの営業が中心。ハッピーアワーを設ける店もあります
- Payment:カードが使える店が多いですが、現金も少し用意しておくと安心です
- Getting around:店同士が近い1区中心なら徒歩、離れた店へは配車アプリが便利です
ルーフトップで景色とともに飲みたい日は絶景ルーフトップバー、締めの一杯や食事は食べ物ガイドとあわせてどうぞ。
持ち帰り・お土産にできる?
気に入ったビールを持ち帰りたい、という人も多いはずです。ホーチミンのクラフトは、缶や瓶で買えるものもあります。
- Pasteur Street など一部の醸造所は、缶で販売しています。店頭のほか、輸入食品を扱うスーパーで見かけることもあります
- その場で飲むぶんには樽(タップ)が新鮮ですが、持ち帰りは缶・瓶が現実的です
- 缶・瓶は温度変化に弱いので、買ったら早めに。ホテルの冷蔵庫で冷やしておくと安心です
- 日本へ持ち帰る場合、酒類は原則としてスーツケースに入れて預け入れます。液体の機内持ち込み制限に注意してください
食べ物系のお土産とあわせて選ぶなら、ベトナムお土産を買う場所ガイドis also a helpful reference.
Frequently asked questions
- ホーチミンでクラフトビールはどこで飲めますか?
-
1区の Lý Tự Trọng 通り周辺に、East West Brewing や Heart of Darkness といった醸造所直営店が集まっています。Pasteur Street の本店も1区、品揃え重視なら3区の BiaCraft がおすすめです。
- クラフトビールは1杯いくらくらいですか?
-
おおむね 90,000〜160,000 VND(約530〜940円)です。ローカルのラガーより高めですが、少量ずつ飲み比べできるフライト(テイスティングセット)を置く店も多くあります。
- ハノイとホーチミン、クラフトビールはどちらが楽しめますか?
-
ホーチミンは醸造所直営店が1区に集中し、飲み比べに向いています。ハノイは独立系ブランドとビアホイ(格安の生ビール)文化が特徴です。旅程に両方あるなら、性格の違いを楽しめます。
- ベトナムならではのクラフトビールはありますか?
-
パッションフルーツやジャックフルーツ、コーヒー、レモングラスなど、ベトナム産の素材を使ったビールが各醸造所の看板になっています。ジャスミンを使ったIPAなどが代表例です。
- 観光客でも入りやすいですか?
-
紹介した店はいずれも観光客の利用が多く、英語メニューがある店がほとんどです。フライトで少量ずつ試せるので、クラフトが初めてでも入りやすいです。
- ビールを日本に持ち帰れますか?
-
Pasteur Street など缶で売っている醸造所もあり、お土産にできます。日本へ持ち帰る場合、酒類は原則スーツケースに入れて預け入れます。缶・瓶は温度変化に弱いので、早めに飲むのがおすすめです。
まとめ:まずは1区の3軒から
ホーチミンのクラフトビールは、1区の徒歩圏に名店が集まっているのが魅力です。初日は East West と Heart of Darkness を同じ通りで続けて回り、翌日に Pasteur Street の本店へ。品揃えを堪能したい日は BiaCraft、という組み立てが王道です。
北のビアホイ文化とはまた別の、南ならではの一杯を。ハノイに足を延ばすならthe complete Hanoi craft beer guide、街全体の回り方はホーチミンのエリアガイドas well.
