ロンリープラネットが2026年9月に公開した「Best in Travel 2027」に、ベトナムのダナンが入った。公式サイトが「50 Best Places to Go in 2027」として並べた50件を1件ずつ数えると、ベトナムの地名はダナンだけだ。VnExpressの英語版が9月25日に報じ、市の観光統計を添えている。来年ダナンへ行く人に効くのは、選ばれた事実よりも、どんな滞在の型が推されたのかという中身だ。
ロンリープラネットは50か所を1本のリストに並べた
2027年版には順位もカテゴリー分けも付いていない
公式ページの見出しは「50 Best Places to Go in 2027」。国・都市・地域といった区分けはなく、50件が1本のリストとして並ぶ。絞り込みは5つのテーマだけで、1位から50位の番号は振られていない。「ダナンが何位」という書き方は当てはまらない。ベトナムの地名を探す範囲も、この50件で尽きる。
選び方については、各地は経験から編んだもので、自社のライターと編集者が実際に足を運び、見てきて、他の人にも行ってほしいと思って戻ってきた場所だ、という趣旨がページ冒頭に置かれている。根拠として挙げているのは編集部の実地経験だ。
紹介文は山と長い市街ビーチから始まる
ダナンに添えられた一行は「Best for laid-back city beaches and UNESCO stops」。本文はこの順で書かれている。ベトナムのほぼ中央に位置し、山と長い市街ビーチと落ち着いた空気に恵まれている。景色のよいソンチャ半島は、ひとりになれる時間と海沿いの眺望をくれる。日帰りの選択肢には3つの世界遺産——フエの陵墓と寺院、ミーソンのチャム様式の塔、写真映えするホイアンの町——がある。そこに飛び抜けた食が加わる、と。
紹介文の署名も出ている。ホーチミン市を拠点にする旅行ライター、James Pham。海外メディアのランキングは外から見た印象の話になりがちだが、この1件は現地在住者の原稿だ。
全50件を数えるとベトナムは1件、日本は2件
アジアから選ばれたのはどこか
公式ページの50件からアジアに当たるものを拾うと次の10件になる(中東扱いのオマーンは除いた)。VnExpressは記事末でアジア分を「5 destinations」と「5 experiences」の2列に分けて10件挙げており、こちらの表と同じ集合だった。
| Location | 国・地域(LP表記) | LPが添えた一行 |
|---|---|---|
| Da Nang | Vietnam | Best for laid-back city beaches and UNESCO stops |
| 沖縄 | Japan | Best for subtropical island culture |
| 東北 | Japan | Best for Michinoku trail hiking |
| Chengdu | China | Best for pandas and easy living |
| ダージリン | India | Best for a Toy Train journey |
| グジャラート | India | Best for salt flats and wild lions |
| Taiwan | Asia | Best for night market grazing |
| バタンアイ国立公園 | Malaysia | Best for a longboat rainforest journey |
| フリドゥー | Maldives | Best for unpolished island life |
| アスタナ | Kazakhstan | Best for futuristic skylines |
50件は場所の名前で立っているのに、推す理由が体験に寄るものが混じる。トイトレインの旅、みちのく潮風トレイルの歩き、ロングボートで入る熱帯林。VnExpressがアジア分の5件を「〜する体験」の形で書いたのは、この性格を汲んだ表記だろう。ダナンの一行は場所の性格と日帰り先をセットで言い、体験名ではなく滞在の型を指す。
テーマタグが4つ付いた選出は50件中6件だった
絞り込みタグを50件すべて拾って数えると、ダナンには beaches-and-islands / culture / food-and-drink / outdoors の4つが付いていた。5テーマ全部が付いた選出は1件もなく、4つ付きは6件。ヴェネト、ダニーデン&ワイタキ、ケベック、沖縄、ダナン、サントメ・プリンシペである。これは筆者がタグを数えた結果で、順位や評点として示されたものではない。
沖縄との重なり方も使える。沖縄とダナンは culture・outdoors・beaches-and-islands の3つが共通し、ダナン側だけに food-and-drink、沖縄側だけに scenic-routes が付く。骨格は同じで、ダナンは食が、沖縄は道の景色が足されている。沖縄が気に入った人がダナンで何を足せるのか、という当たりの付け方ができる。
8か月で1,425万人、前年同期から24.9%増
発表は宿泊施設が受け入れた人数として出ている
VnExpressが市の観光情報ポータルの数字として伝えたのは、2026年1〜8月にダナン市内のホテルなど宿泊施設が受け入れた約1,425万人、前年同期比24.9%増。うち国際客は688万人で26.3%増。1,425万から688万を引くと国内客は約737万人、国際客の比率は約48%、8か月で割ると月あたり約178万人になる(いずれも筆者の計算で発表値ではない)。
この数字は宿泊施設が受け入れた人数として発表されている。日帰りで市内を通過した人の扱いは、発表の一行からは確かめられない。それでも前年同期を24.9%上回った勢いは動かない。伸びはリスト入りより前に積み上がった数字で、リスト入りが上乗せされるかはここからは分からない。
予約を早めるかどうかの判断材料になるか
24.9%増という水準が続くなら、去年と同じ感覚では部屋が取れない場面が出る。ただし数字が示すのは「すでに混んでいる」ことで、「来年さらに混む」ことではない。ランキングに載ったから混むという筋を作ると、押さえる時期を読み違える。
現実的なのは、動かせない連休だけ先に確保し、動かせる日程は直前まで待つ分け方だ。混雑を外すためにエリアをずらす発想は混雑を避けて北フーコックへ向かうスロー滞在でも取り上げた。ダナンは市街ビーチとソンチャ半島という性格の違う2つが同じ市内にあるので、滞在先を動かさずに時間帯をずらす手も残っている。
2025年の再編でホイアンとミーソンはダナン市内になった
フエだけは別の直轄市として残っている
ロンリープラネットが日帰り先として挙げた3つの世界遺産のうち、ホイアンとミーソンは、いまダナン市の中にある。2025年6月の国会決議による省級再編で、同年7月1日からクアンナム省がダナン市に統合された結果で、ホイアン旧市街は市内の坊、ミーソンはトゥーボン社に置かれている。統合後の市域は11,859.59km²、人口385万6,400人(2025年)。
フエは別だ。2025年にベトナム6番目の直轄市になり、旧トゥアティエン・フエ省の全域をそのまま市域にした。ダナンの北隣で行政上は別の市だ。線が引き直されても移動時間は変わらないが、「3つの世界遺産のうち2つはダナン市内、1つは隣の市」という前提に変わった。
3か所の登録年と距離を並べておく
| World Heritage | 登録年 | 現在の行政上の位置 | Distance |
|---|---|---|---|
| フエの建造物群 | 1993年 | フエ市(直轄市・ダナンの北隣) | 本稿では未確認 |
| Hoi An Ancient Town | 1999年 | ダナン市ホイアン坊 | ミーソンから北へ約36km |
| ミーソン聖域 | 1999年 | ダナン市トゥーボン社 | ダナン中心部から南西へ約68km |
登録年はユネスコ世界遺産センターの一覧で確認した。ホイアンとダナン中心部の間の距離は裏が取れなかったので載せていない。フエへ足を伸ばすなら、その市内で出会えるマムルオック入りのコーヒーのような土地固有の一杯もある。
ロンリープラネットが推した中身に近づく滞在はどう組むか
ミーソンとホイアンは同じ1日にまとめられる
ミーソンはダナン中心部から南西へ約68km、ホイアンからは南へ約36km。中心部を出てミーソンへ向かい、帰りにホイアンへ寄って戻る1日は距離の上では組める。フエは北隣の別の市で方向が違い、同じ日に詰め込むと1日が移動で埋まる。3か所を回るならフエは別の日に切り出すほうが素直だ。
「laid-back city beaches」のほうは、市街に長いビーチがあるという条件そのものが効く。宿から歩いて海に出られる立地なら、遺産へ向かう日の朝と戻った夕方の2回、同じ海に入れる。ソンチャ半島は静けさと海沿いの眺望で挙げられていたので、遺産を回らない日の受け皿に空けておくと合う。
ランキングを行き先の理由にしても、見る物の理由にはしない
海外メディアのランキングにベトナムの地名が載るのは今回だけではなく、別の媒体ではホーチミンのタンディン地区が世界で12番目にクールな街に選ばれた件もあった。こうしたリストは候補地を絞る段階で役に立つ。ただし何を見るかまで決めてもらうと、載っていない場所が消える。
今回のダナンの一行は有名な1か所を推していない。市街のビーチと、日帰りで届く世界遺産の組み合わせを推している。最初に決めるのは訪問先の数ではなく日数の割り方だ。遺産に出る日を何日、海に残る日を何日にするか。そこを決めてから宿を押さえれば、24.9%増という混み方でも動かせない日付だけ早めに固定できる。
Sources


