フーコック国際空港と島南部を結ぶライトレール(LRT)が、2027年6月に試運転、8月に商業運行を目指して工事を進めている。全長17.5km、所要は約20分の見込み。島でタクシーや配車アプリに頼ってきた旅行者にとって、空港と南部リゾートを定額・定時で移動できる軸が1本通る話で、フーコック行きを考える在住者・旅行者は早めに動線を描き直しておきたい。
空港と南部を結ぶ17.5km、所要約20分
路線は空港からAPEC国際会議・展示センターまでを結ぶ。フーコックは南北に長く、空港は島の中央やや南、ビーチリゾートやナイトマーケットの多いゾンドンやアントイ方面は空港から車で30〜40分かかる区間もある。ここを一本の軌道で結び、渋滞と無縁の約20分に短縮するのが狙いだ。路線の大半は地上を走り、一部が高架とトンネルになる。事業主体はサングループで、建設・運営後に譲渡するBOT方式を採る。総投資は約9兆ドン(約3.42億ドル、1ドル150円換算でおよそ513億円)。工事は2025年末に始まった。
2025年末着工、橋脚と路盤が先行
現場は3交代・約600人が動く。橋脚の基礎は63%、橋脚本体は56%、路盤の掘削・成形は97%まで来ている。島特有の地質と雨季の豪雨が難所で、モンスーン期の冠水やトンネル掘削では工法の切り替えを迫られた場面もあった。数字は着工から日が浅い段階のもので、開業時期はあくまで目標である点は押さえておきたい。
| Item | Details |
|---|---|
| Section | フーコック国際空港〜APEC国際会議・展示センター |
| 全長・所要 | 17.5km/約20分 |
| 試運転/商業運行 | 2027年6月/2027年8月(目標) |
| 事業者・方式 | サングループ/BOT |
| 総投資 | 約9兆ドン(約3.42億ドル、概算513億円) |
為替は1ドル≒150円で換算した概算。金額・時期は工事進行で変わりうる。
フーコック旅行の移動がどう変わるか
いま島内移動の中心はタクシーと配車アプリで、繁忙期は料金が跳ね、空港の客待ち行列で待たされることもある。ハイシーズンの週末には空港から南部まで日本円で数千円かかる日もあり、到着直後の交渉が旅の出だしのストレスになりやすい。空港から南部への定時ルートが1本入れば、到着後の第一移動を予約なしで組めるようになり、料金交渉の負担も消える。所要が読めれば、初日の到着からディナーやサンセットまでの予定も逆算しやすい。荷物の多い家族連れや、深夜便で着いてホテルまで直行したい層ほど恩恵は大きい。一方で、駅から各ホテルまでのラストワンマイルはタクシーや送迎が残る。全区間がLRTで完結するわけではないので、宿を取るときは「最寄り駅からの二次交通」まで含めて確認しておくと安全だ。
島へのアクセス自体も広がっている。第2滑走路が3300mで校正飛行を終え、B787級の就航が可能になり、直行便の受け皿が増えた。7カ月で8,500便増という便数の伸びと、空港から島内を結ぶLRTがそろえば、「空へのアクセス」と「陸の足」が初めて一体で機能する。
APEC2027に向けた島全体の開発
LRTの終点がAPEC国際会議・展示センターである点が象徴的だ。フーコックは2027年のAPEC経済首脳週の開催地に選ばれており、この鉄道は首脳週を運ぶ交通インフラとして計画されている。空港拡張、会議施設、そして島を貫く鉄道が同じ2027年に向けて動く構図で、点在していた開発が線でつながり始めた。上半期に570万人が訪れExpedia世界9位に入った勢いも、この一連の投資と無縁ではない。旅行者にとっては、島がリゾートの集合体から、都市機能を備えた目的地へ姿を変える過渡期に立ち会うことになる。首脳週に向けては警備や交通規制、宿泊の逼迫も想定され、開催直前に旅行するなら日程と予約は前倒しで押さえたい。裏を返せば、鉄道や空港の整備は首脳週が終わっても島に残る資産で、2027年以降のフーコックは「行きやすく、動きやすい」島に近づく。
フーコックへ行くなら押さえておく点
- LRTの試運転は2027年6月、商業運行は同8月が目標。2027年前半までの旅行は従来どおりタクシー・配車アプリが主軸になる。
- 開業後も空港〜南部の幹線が対象で、各ホテルへの最終移動は別途必要。宿選びは駅からの距離もあわせて見る。
- 2027年はAPEC首脳週の前後で島全体が混み合う可能性がある。日程に幅を持たせたい。
- 金額・開業時期は工事の進み方で動く。渡航前に最新の運行情報を確認する。
2027年、フーコックは「動きやすい島」になるか
17.5kmのライトレールは、島の移動を配車アプリ頼みから定時・定額の軸へと変える一歩になる。ただし開業は2027年8月が目標で、それまではまだ図面の上の話だ。いま計画を立てるなら、当面はタクシーと送迎を前提にしつつ、2027年以降の再訪では空港からの新しい足を組み込む——そんな二段構えで島の変化を追いかけたい。
