濃厚な香りと独特の味わいが魅力のベトナムコーヒー。その歴史は19世紀半ばにまで遡ります。フランス植民地時代、宣教師たちによってコーヒーの木が持ち込まれたのが起源です。
戦争や政変を経た現在も、ハノイやホーチミンには創業50年以上の老舗カフェが残り、変わらぬ味を守り続けています。
本記事では、ベトナムコーヒーの歴史や老舗カフェ、自宅での楽しみ方を紹介します。
ベトナムコーヒーの歴史

ベトナムコーヒーはフランス植民地時代から130年以上にわたり、独自の進化を遂げてきました。
その歩みを年表で振り返ります。
| 年代 | 出来事 |
|---|---|
| 1850年代 | フランス宣教師がアラビカ種を持ち込み |
| 1880年代 | 最初の商業用コーヒー農園が設立 |
| 1900年代初頭 | 手頃な抽出方法としてフィンフィルターが発明される |
| 1975年 | ベトナム統一、コーヒー産業の国営化 |
| 2000年代 | ベトナムコーヒーが国際的な評価を得る |
ベトナムコーヒーが発展した背景には、フランス統治の影響があります。フランス人によってもたらされたコーヒーは、西洋文化とともにカフェ文化として庶民に浸透していきました。
The Traditions That Long-Established Coffee Shops Keep Alive

ベトナム各地には、100年近く営業を続ける老舗コーヒーショップが点在しています。
フランス植民地時代にコーヒー文化が根づいて以来、時代の変化に翻弄されながらも、焙煎方法や抽出スタイル、店の佇まいを大きく変えることなく守り続けてきました。
アルミ製のフィンで一杯ずつ丁寧に淹れる方法や、深煎りの豆が放つ力強い香りは、今も昔も変わりません。
こうした老舗コーヒーショップは、観光名所であると同時に、ベトナムの日常や価値観を感じられる場所でもあります。
ハノイ旧市街に残る老舗カフェ
首都ハノイの旧市街地区には、老舗カフェが点在しています。地元では「ハノイコーヒーの四本柱」とよばれる名店があり、それぞれが独自の歴史とこだわりを持っています。
カフェ・ザン(Cafe Giang)
グエン・フウ・フアン通り39番地の路地裏に佇むカフェ・ザンは、有名なエッグコーヒー発祥の地として知られています。
現在では多くのカフェで提供されていますが、本家の味は別格といわれています。シンプルなエッグコーヒーだけでなく、抹茶エッグコーヒー、オレオエッグコーヒーなど新フレーバーも展開。ショッピングセンターへの出店など伝統を守りながらも進化を続けています。
| Founded | 1946年 |
| 住所 | 39 Nguyen Huu Huan, Hoan Kiem, Hanoi |
| 営業時間 | 7:00-22:30 |
| 代表メニュー | エッグコーヒー(45,000 VND) |
ラム・コーヒーショップ(Lam Cafe)
グエン・フウ・フアン通り60番地に位置するラム・コーヒーショップは、1952年創業の歴史ある老舗です。ベトナム戦争前夜の1950年代、作曲家ヴァン・カオや詩人ブイ・スアン・パイといった文化人たちがこの店に集い、芸術論や文学を語り合ったことで知られています。
この店の最大の特徴は、ほんのり焦げた香ばしさが際立つコーヒーです。深煎りロブスタ豆を使用し、絶妙な焙煎加減で苦味と香りのバランスを追求。こじんまりとした店内ですが、活気に満ち、ハノイの歴史と文化が息づいています。
| Founded | 1952年 |
| 住所 | 60 Nguyen Huu Huan, Hoan Kiem, Hanoi |
| 営業時間 | 6:30-22:00 |
| 代表メニュー | ブラックコーヒー(35,000 VND)、ミルクコーヒー(35,000 VND) |
個性豊かなベトナムコーヒーの魅力

個性豊かな味わいが魅力のベトナムコーヒー。ブラックコーヒーから塩や果物を取り入れた新トレンドまで、さまざまなコーヒーが楽しめます。
ブラックコーヒー|Cà phê đen(カフェデン)
「フィン」と呼ばれる金属製のドリッパーを使用し、粗挽きのコーヒー豆から濃厚なエキスをゆっくりと抽出します。日本のブラックコーヒーより苦みが強く、氷で溶かしながらゆっくりと味わうのが定番です。
練乳入りコーヒー|Cà phê sữa(カフェスア)
ベトナムコーヒーといえば、「練乳入りコーヒー」を思い浮かべる方もいるのではないでしょうか。コンデンスミルクとコーヒーをスプーンでかき混ぜて、会話を楽しみながら少しずつ飲むのがベトナム流です。
ミルク入りコーヒー|Bac Xiu(バクシウ)
ベトナム版アイスラテ。カフェスアと似ていますが、バクシウの方がミルクの量が多く飲みやすいです。
コンデンスミルクと氷の相性がよく、暑い季節にぴったりのドリンクです。
塩コーヒー|Cà phê muối(カフェムォイ)
コンデンスミルク入りコーヒーの甘さに塩のピリッとしたアクセントがくせになるメニュー。店によっては塩入りミルクフォームが乗ったものなど、作り方はさまざまです。
アイスが定番で、暑い季節にエネルギーをチャージしたいときにおすすめです。
ベトナムコーヒーを日本で楽しむには

A tour of long-established Vietnamese coffee shops, their history and appeal
実は、日本が輸入するコーヒー豆を国別に見ると、ベトナムはブラジルに次ぐ第2位。輸入量全体の2割以上をベトナム産が占めており、日本でも比較的身近な存在といえます。
ベトナムコーヒーを日本でも楽しみたい方に向けて、自宅での再現方法を紹介します。
ベトナムコーヒーを自宅で楽しむための準備
濃厚な味わいのベトナムコーヒーを自宅で再現するためには準備が欠かせません。
以下のポイントを押さえて、自宅でもベトナムのカフェ気分を楽しみましょう。
ベトナムコーヒーを自宅で味わうための準備
- 豆はロブスタ種を使う
- 専用のコーヒードリッパー「フィン」を使う
- 「フィン」がない場合は、濃いめのドリップコーヒーを用意する
- 抽出はゆっくりと時間をかけて
自宅でベトナムコーヒーを楽しむ方法
- フィンにコーヒー粉を入れ、少量のお湯で蒸らす
- コンデンスミルクを入れる場合は、先にカップに入れておく
- 蒸らし後、熱湯を注ぎ、時間をかけてゆっくり抽出
手軽に飲みたい!そんなときはインスタントがおすすめ
時間がない、道具を用意するのが大変という方はインスタントコーヒーも選択肢となります。
G7やMR.VIETといったベトナムブランドのコーヒーであれば、手軽にベトナムコーヒーを味わえます。
日本の大手通販サイトで手に入りやすく、忙しい日常の中でも気軽に取り入れられるのが魅力です。
時を超えて愛されるベトナムコーヒーの魅力
Vietnamese coffee carries more than 130 years of history dating back to French colonial times, and it has developed in its own way. Even now, as the world’s second-largest coffee producer, the country preserves the traditional phin brewing method and the distinctive habit of adding condensed milk.
ベトナムを訪れる際には、ガイドブックに載っているおしゃれなカフェだけでなく、地元の人々に長年愛されてきた老舗店も訪ねてみてください。そこには、時間をかけて育まれた本物の味と、ベトナムの人々の日常が息づいています。
コーヒーを通して街や人々の息づかいを感じる。それがベトナムコーヒーの魅力かもしれません。

