初めてのサイゴン(ホーチミン市)で「半日で主要スポットをざっと押さえたい」という旅行者に向く選択肢が、また一つ増えます。屋根のない2階建てのオープントップバスで市内を一周する新ルート「DL06」が、2026年7月4日に運行を始めます。サイゴンバスターミナルを起点に、バックパッカー街のファムグーラオ通りや聖母大聖堂、グエンフエ歩行者天国などを経由し、約27kmを110分ほどかけてめぐる路線です。市内のオープントップ観光バスはこれで6本目。どの路線をどう使い分けるかで、限られた滞在時間の密度が変わってきます。
7月4日開業の新ルート「DL06」の概要
地元報道によると、新路線はワールド・トラベル・トレーディング社(World Travel Trading JSC)が運行します。車両は60席のオープントップ2階建てバス。起点はサイゴンバスターミナル、終点はビンチュン(Binh Trung)方面で、距離は約27km、1周あたりの所要は約110分です。運行時間は毎日8時から19時までとされています。市の補助金に頼らない非補助路線として運営される点も、報道で明示されています。
ルートはファムグーラオ通りを出発し、チャンフンダオ通り、ハムギ通り、トンドゥックタン通り、グエンタットタイン通り、マイチートー通り、ヴァンダン通りを通り、トゥーティエム橋(Thu Thiem bridge)経由で中心部へ戻る構成です。途中で聖母大聖堂やグエンフエ歩行者天国といった定番スポットの前を通過します。中心部の見どころと、トゥーティエム側の新しい都市景観を一度に車窓に収められるのが、この路線の組み立ての特徴です。
便数は段階的に増える設計になっている
注目したいのが、便数を一度に増やさず段階的に立ち上げる運行計画です。開業直後の7月4日から9月30日までは1日5便。10月は1日10便に増やし、11月1日からは1日15便に拡大すると報じられています。つまり開業初期はかなり便数が絞られており、年末の繁忙期に向けて運行体制を厚くしていく組み立てです。
この設計は、旅行者の予定の組みやすさに直結します。9月末までの5便体制では、1便を逃すと次の便まで相応に待つことになります。スケジュールに観光バスを組み込むなら、開業初期は出発時刻を事前に確認し、その時刻を軸に1日の動線を組むのが現実的です。逆に11月以降は便数が3倍になるため、飛び込みでも乗りやすくなる見込みです。いつ訪れるかで使い勝手が大きく変わる路線だと理解しておくと、計画の精度が上がります。
既存ルートとの違いを距離・所要時間で比べる
ホーチミン市はこのDL06を加える前に、5本のオープントップ観光バス路線を運行してきました。新路線がそこにどう位置づくのかを、公開情報で確認できる範囲で整理します。なお便数・運行時間は変更されることがあるため、乗車前に最新の案内を確認してください。
| 路線 | 区間・性格 | 距離・所要の目安 |
|---|---|---|
| DL01(2020年〜) | 中心部の定番周遊 | 約12.7km |
| サイゴン〜チョロン線(2024年〜) | 中心部とチャイナタウンを結ぶ | 約20km・約2時間 |
| DL06(2026年7月〜) | 中心部+トゥーティエム側を一周 | 約27km・約110分 |
距離の数字を並べると、DL06は既存路線より長い約27kmを走る一方で、所要は約110分と、20kmで約2時間とされるチョロン線と大きくは変わりません。停車・周遊型ではなく、ある程度流して走る構成だと読み取れます。中心部だけを短時間で見たいならDL01のような短距離路線、川の対岸の新市街まで景色を広げたいならDL06、というのが大まかな住み分けになりそうです。
現地・旅行者の受け止め
既存のオープントップバスを利用した旅行者からは、屋根がない2階席から見上げる大聖堂や、グエンフエ歩行者天国沿いの街並みが開放感のある「映え」になる、という声が以前から上がっています。徒歩では一日では回りきれない範囲を、座ったまま眺められる手軽さを評価する受け止めも多く見られます。一方で、日中のサイゴンは強い日差しと暑さがあるため、屋根のない上段は時間帯によってかなり暑くなるという指摘も実体験として共有されています。
地元の観光関係者の間では、トゥーティエム橋を渡って対岸の新しい都市景観まで含めるルート設計を、サイゴンの「いまの姿」を見せる動線として前向きに捉える見方があります。中心部の歴史的建築と、対岸で進む再開発の風景をひと続きで見せる構成は、リピーターにとっても新鮮に映るという受け止めです。バクダン埠頭周辺の水辺整備など、川を軸にした都市の更新が進むなかで、サイゴン川の水辺再開発の流れと観光バスのルートが重なってくる点も、今後の見どころとして語られています。
日本人旅行者にとっての使いどころ
初めてサイゴンを訪れる人にとって、この種のオープントップバスの最大の利点は、土地勘がない段階で街の全体像を一度に頭に入れられることです。到着初日に1周乗っておけば、聖母大聖堂やグエンフエ歩行者天国、トゥーティエム側の位置関係がつかめ、翌日以降に「ここをもう一度ゆっくり歩こう」という計画が立てやすくなります。約110分という所要は、午前か夕方の半日に無理なく収まる長さです。
暑さ対策は実用上の要点です。屋根のない上段に座るなら、日差しの強い正午前後を避け、比較的過ごしやすい朝8〜9時台か、夕方17時以降の便を選ぶと快適に楽しめます。帽子・日焼け止め・水分を持参し、風で飛ばされる小物は固定しておくと安心です。鉄道で市内を移動する手段もあわせて検討するなら、ホーチミンの都市鉄道の整備状況を確認しておくと、観光バスと地下鉄・徒歩を組み合わせた一日の動線が描きやすくなります。
観光・交通インフラへの波及
非補助の民間路線が6本目として加わることは、サイゴンの観光交通が「公共交通の補完」から「収益事業としての観光体験」へと幅を広げている動きとして読めます。ルートが中心部にとどまらず対岸の新市街まで延びたことは、観光客の動線を都市の更新が進むエリアへ広げる効果を持ちます。人の流れが対岸へ向かえば、その沿線のカフェや飲食、宿泊への波及も期待できます。
旅行者の視点で言えば、選べる路線が増えることは、目的に応じた組み合わせの自由度が上がることを意味します。歴史建築を中心に短時間で見たい日、川を渡って広く街を眺めたい日、といった使い分けがしやすくなります。アオザイ文化を体感できる催しなど、街なかのイベントとバス周遊を組み合わせる楽しみ方も考えられ、サイゴンのアオザイ・フェスティバルのような期間限定の盛り上がりとタイミングを合わせると、旅の密度がさらに高まります。
実用情報・関連リンク
乗車前に押さえておきたい実用ポイントを整理します。チケットは公開情報に明示がないため、最新の料金・購入方法は運行事業者やバスターミナル、各旅行予約サイトで直前に確認してください。
- 起点はサイゴンバスターミナル。終点はビンチュン方面で、約27km・約110分の周遊。
- 運行は毎日8時〜19時。便数は7月4日〜9月30日が1日5便、10月が1日10便、11月1日以降が1日15便。
- 9月末までは便数が少ないため、出発時刻を確認してから一日の予定を組む。
- 屋根のない上段は日中が暑い。朝か夕方の便を選び、帽子・日焼け止め・水分を用意する。
旅の合間の食やカフェも計画に組み込みたい人は、街歩きで立ち寄れるスポットとあわせてルートを考えると効率的です。降車後に休憩できるカフェや食事処を、停車エリアごとに事前にいくつか目星をつけておくと、バスを降りた後の動線に困りません。
まとめ:次の旅にどう組み込むか
DL06は、サイゴンの中心部から対岸の新市街までを約110分で一周できる、6本目のオープントップ観光バスです。次の旅に組み込むなら、(1) 訪問時期で便数が変わる(9月末まで5便、10月10便、11月以降15便)ことをふまえ、開業初期は出発時刻を先に確認する、(2) 暑さを避けて朝か夕方の便を選ぶ、(3) 到着初日に1周して全体像をつかみ、翌日以降の街歩きの計画に活かす、の3点を意識すると失敗しにくくなります。歩いて回るには広いサイゴンを、座ったまま見渡せる半日として使ってみてください。
