サイゴンに「ソ連のおばあちゃんの家」露料理CCCPが面白い

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ベトナム旅行で「フォーと生春巻きはもう食べた、次は何か変わったものを」と思ったとき、ホーチミン1区のど真ん中にある一軒の店が候補に入ります。店名はCCCP(キリル文字でソ連を意味する略号)。赤と白のチェックのカーテン、ロシアの民芸人形ネヴァリャシカ、花柄の壁紙。まるで旧ソ連圏の「おばあちゃんの家」に上がり込んだような空間で、ボルシチやシャシリク(串焼き)を出す東欧料理店です。なぜベトナムにソ連料理なのか、そして日本人旅行者がここを楽しむにはどう動けばいいのか。地元メディアの取材記事を起点に掘り下げます。

目次

「ソ連のおばあちゃんの家」CCCPとは何か

英字メディアSaigoneerが紹介したのは、ホーチミン1区にあるソ連・東欧料理店CCCP。共同経営者で店を切り盛りするグエン・ズイ・タイン(Nguyễn Duy Thành)氏は、ロシアで学び・働き・暮らした経験を持ち、その義母にあたるのがウクライナ人シェフのスヴェトラーナ・グエン(Svetlana Nguyen)氏です。料理のレシピはこの義母が組み立てたもので、家庭の味をそのまま店に持ち込んでいます。

内装は意図的に「懐かしさ」を演出しています。キャスター付きのピクニックベンチを備えた木製のダイニングセット、ミスマッチなテーブルクロス、花柄の壁紙。旧ソ連圏の親戚の家に招かれたような、肩の力が抜ける雰囲気が売りです。観光客向けに磨き上げられた「インスタ映え」とは少し違う、生活感のある居心地のよさがここにはあります。

なぜサイゴンにソ連料理の店があるのか

意外に思えるかもしれませんが、ベトナムとロシア(旧ソ連)の縁は深く、食の越境が起きる土壌は十分にあります。ソ連は1950年代以降、ベトナムへの教育支援を続け、累計で5万人を超えるベトナム人がソ連・ロシアで学んだとされます。1980年代には20万人規模の労働者がソ連各地の工場へ渡った時期もありました。ロシアで青春を過ごしたベトナム人、そしてベトナム人と結婚した旧ソ連圏の人々が一定数いるのは、こうした歴史の延長線上です。

CCCPというブランド自体、起点はホーチミンではありません。ウクライナ人シェフのスヴェトラーナ氏が2005年にハノイで開いた店が最初で、その後ホーチミンへ展開した経緯があります。ロシアと長く関わってきた家族が、自分たちの記憶の中の味と空間を南部の街に再現した——というのが、この店の成り立ちです。旅行者にとっては、ガイドブックの定番から一歩外れた「ベトナムの多層性」を味わえる場所と言えます。

メニューと予算の目安(為替前提あり)

看板はやはり肉。ラムとポークのシャシリク(串焼き)が中心で、ほかにバターと塩漬け豚脂サーロを乗せたライ麦パン、ビーツで締めたサーモンや燻製サバの塩魚の盛り合わせ、コトレータ(パン粉をまとった豚のフライ)、ボルシチといった東欧の定番が並びます。デザートはハチミツを重ねたメドヴィク、ナポレオン(ミルフィーユ風)、発酵クリームのスメタナなど。ロシア・ウクライナの家庭料理を一通り体験できる構成です。

予算の目安は、Saigoneerの取材では1人あたりおよそ30万VNDとされています。1円≈170VNDで換算すると、ざっくり1人2,000円弱という水準です(為替は変動するため、訪問時のレートで確認してください)。別の現地レビューでは、魚卵や塩魚・燻製魚の盛り合わせ・肉のコンボを除けば多くの一品が10万〜20万VND台という声もあり、頼み方しだいで予算は上下します。少人数なら数品をシェアして様子を見るのが無難です。

項目 目安
1人あたり平均予算 約30万VND(≒2,000円弱/1円≈170VND換算)
単品の中心価格帯 10万〜20万VND台が中心(盛り合わせ・コンボは高め)
支払い 各種決済に対応
デリバリー 配達アプリ非対応。Facebook Messenger・Zaloで注文可

現地・客層の反応

地元メディアや旅行者の声を総合すると、評価のポイントは3つに集約されます。1つ目は「内装の没入感」。旧ソ連圏を訪れたことがある人ほど、ネヴァリャシカ人形やチェックのカーテンに反応し、懐かしさを語ります。2つ目は「家庭の味としての完成度」。観光地のレストラン然とした派手さより、義母のレシピに支えられた素朴さを評価する声が目立ちます。3つ目は「サイゴンでこの料理が食べられること自体への驚き」。ベトナムでロシア・ウクライナ料理という組み合わせの意外性が、来店の動機になっています。

こうした反応は、店が「珍しさ」だけで成り立っているのではなく、ロシアで時間を過ごしたベトナム人や在住外国人にとっての「帰る場所」としても機能していることを示しています。観光客と地元の常連が同じ空間に混在するのは、この種の店ならではの光景です。

日本人旅行者がCCCPを楽しむための示唆

日本でロシア・ウクライナ料理を出す店は限られ、ボルシチやシャシリクをまとめて味わえる機会は多くありません。ホーチミンの中心部でそれが叶うのは、旅程に組み込む価値があります。狙い目は「ベトナム料理に少し飽きたタイミング」。連泊の中日に、味の系統をガラッと変える一食として使うと満足度が上がります。

頼み方のコツは、まずシャシリクを軸に、ライ麦パン+サーロや塩魚の盛り合わせで「東欧の前菜」を一通り押さえること。締めにメドヴィクかナポレオンを足せば、コース的な体験になります。辛いものや酸味のある料理が続くベトナム旅の中で、発酵クリームやハチミツ系デザートのまろやかさは舌のリセットにもなります。なお食文化の越境という観点では、ホーチミンにはタオディエンのチベット餃子モモの店のように、ベトナムらしからぬ異国の味が根づいた例が点在しており、こうした「予想外の一皿」を巡るのも旅の楽しみ方の一つです。

食の越境が生むベトナムの新しい外食シーン

CCCPのような店は、ベトナムの外食産業が「ベトナム料理+世界各地の家庭料理」へと広がっている流れを象徴しています。観光大国として各国の食文化を受け入れる一方、ベトナム人自身が海外で身につけた味を逆輸入する動きも活発です。たとえばギリシャに渡った越僑夫婦がヌクマム(魚醤)を発酵させて売る試みのように、ベトナムの味を世界へ持ち出す例と、海外の味をベトナムへ持ち込む例が、いま同時に進行しています。

旅行者にとっては、この多層化が「同じ都市で何度行っても飽きない」理由になります。フォーやバインミーといった看板料理だけでなく、ロシア・ウクライナ、チベット、地中海といった意外な選択肢が中心部に揃いつつあるからです。次のホーチミン旅行では、定番+意外性のバランスで店を選ぶと、満足度の高い食の旅になります。

実用情報とアクセス

  • 店名:CCCP(ソ連・東欧料理)
  • 住所:48A Nguyễn Bỉnh Khiêm, District 1, ホーチミン市(タンディン/ダカオ地区。1区の中心部)
  • 営業時間:Saigoneerの取材では10:30〜21:30。媒体により表記が異なるため、訪問前にFacebookページで最新の営業時間を確認するのが確実です
  • 予約・問い合わせ:Facebook Messenger・Zaloで対応。デリバリーアプリは非対応
  • アクセス:1区中心部に位置し、戦争証跡博物館や統一会堂エリアから徒歩・タクシー(Grab)で移動しやすい立地。観光の合間に立ち寄りやすい場所です

あわせて、ホーチミンの中心部からの動線づくりにはアオザイのイベント情報のような季節の催しもチェックしておくと、食と街歩きを組み合わせた一日を設計しやすくなります。

まとめ:次のサイゴン旅に「ソ連のおばあちゃんの家」を一食

CCCPは、ベトナムとロシア・ウクライナの深い縁が一軒の食卓に結実した店です。義母のレシピと露暮らしの経験を持つ店主が再現する家庭の味は、ガイドブックの定番から外れた体験を求める旅行者にうってつけです。次のホーチミン旅行では、(1)連泊の中日に味の系統を変える一食として組み込む、(2)シャシリク+東欧の前菜+ハチミツ系デザートで一通り体験する、(3)訪問前にFacebookで営業時間を確認する——この3点を押さえれば、「サイゴンのど真ん中でソ連のおばあちゃんの家に上がり込む」という、ちょっと自慢できる一食になります。

参照元

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この記事を書いた人

ベトナム・ホーチミン在住3年目|旅行で来るだけでは知ることができない、現地にいるからこそわかるローカル情報を中心に発信していければと思いベトナム旅行の専門情報サイトを立ち上げました。

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