ベトナムのカフェといえばコーヒーのイメージが強いかもしれません。けれど、街歩きの途中で「今日はお茶が飲みたい」と思ったら、緑のロゴが目印のPhuc Long Coffee & Teaが候補になります。半世紀以上の歴史を持つお茶とコーヒーのブランドで、ミルクティーだけでも紅茶、烏龍茶、ジャスミン茶と選択肢があります。最初の一杯は看板のフックロン・ミルクティー、ミルクなしならピーチティーを入口にすると選びやすいでしょう。ここでは歴史をたどりながら、メニューの違い、価格の目安、注文の伝え方まで紹介します。

1. 1968年、お茶の産地バオロックから始まった物語
公式の沿革によると、フックロンは1968年、ラムドン省のお茶の産地バオロックで誕生しました。創業者はラム・ボイ・ミン氏。VIRの2024年のインタビューでは、飲み物の色や香り、味の組み合わせを決めるまで何百回も試したと振り返っています。華やかな新作が並ぶ今のカフェにも、茶とコーヒーを扱ってきた専門店としての積み重ねがあるのです。
1980年代には、ホーチミン市のレヴァンシー、チャンフンダオ、マックティブオイの各通りに店舗を開きました。2007年にはビンズオンの茶・コーヒー加工工場に投資し、2018年には同地のミーフック3工業団地にも工場を設けています。現在のカフェにつながる大きな転機は、2012年にCrescent Mallで始めたセルフサービス型の店舗でした。茶葉やコーヒーの加工・販売から、席に座って一杯を楽しむ場所へと広がった歩みです。「Farm to Cup」という言葉を、すべての原料が自社農園産という意味に読み替えるのは避けたいところ。確かめられるのは、加工と商品販売、カフェ運営を長く手がけてきたことです。
2021年5月には、Masan Groupが子会社を通じて20%の持分を取得し、小売網を生かした展開を進めました。その後も出店が続き、Masanの2026年第2四半期発表では、同年6月末の独立型店舗は全国220店。これはWinCommerce内のキオスクを含まない数字です。海外では米国のガーデングローブやサンノゼに進出し、ファウンテンバレー市も2025年6月に同市への出店を紹介しています。店舗数の伸びだけでなく、通常のカフェと小型売店では過ごし方が違う点も、旅行者には大切です。
店舗デザインにも変化が見られます。設計を手がけたSPARKによると、ブランド刷新は2025年に始まり、ハノイ旧市街の旗艦店「Phuc Long Dragon」は2026年2月8日に開店しました。所在地はハンディエウ通り82–84番地。緑とテラコッタを配した内装や、茶器を使った壁面アートが特徴です。単に飲み物を買うだけでなく、茶文化を空間で見せる店と考えると、通常店との違いが分かります。旧市街でゆっくり休む予定なら、目的地として選ぶ価値のある一軒です。
2. Don't Miss These! Recommended Menu
お茶系、コーヒー系、氷を砕いたブレンドドリンクまで幅広く揃います。以下は2026年9月28日、公式注文サイトでホーチミンの63 Mạc Thị Bưởi店を受取店に選んだ際の表示価格です。たとえばフィンコーヒーMは35,000〜39,000 VND、看板ミルクティーLは60,000 VND、果物入りのお茶Lは65,000 VNDの品があります。サイズと支店をそろえて比べると、予算をつかみやすくなります。商品や価格は変わるため、来店時の表示を優先してください。
① 初めての一杯に:フックロン・ミルクティー
店名を冠した「Trà Sữa Phúc Long」は、公式メニューでもBest sellerに並ぶ看板商品です。まずブランドの定番を知りたい人には、この一杯が自然な入口でしょう。同じミルクティーでも、「Trà Ô Long Sữa」は烏龍茶、「Hồng Trà Sữa」は紅茶、「Trà Sữa Lài」はジャスミン茶の系統。甘い飲み物という一括りにせず、好きな茶の香りから選ぶ楽しみがあります。同行者と注文を分けるなら、限定品を二つ選ぶより、茶の種類を変えると違いを比べやすくなります。
フックロン・ミルクティーと烏龍ミルクティーは、確認したメニューではいずれもLサイズ60,000 VND。ジャスミンミルクティーはMサイズ55,000 VNDでした。円換算が必要なら、仮に10,000 VND=60円として、それぞれ約360円、約330円です。これは比較用の計算例で、実際の支払額は為替や手数料によって変わります。甘さが気になるなら、注文時に「ít đường(砂糖少なめ)」と伝え、選んだ商品で調整できるか尋ねてみてください。
② ミルクなしで楽しむ:ピーチティーと果物のお茶
ピーチティーを探すときは「Đào(桃)」が目印。公式メニューの「Hồng Trà Đào」は紅茶と桃を組み合わせた商品で、Lサイズ65,000 VNDです。「Hồng Trà」は紅茶を指すので、ジャスミンティーとは区別しましょう。ミルクの入らない果物のお茶を飲みたいときに選びやすい一杯です。ただし、ミルクがないことと甘さ控えめであることは別。さっぱりしたものを想像しているなら、甘さも注文時に相談すると好みに近づけやすくなります。
ほかにも「Trà Vải Lài」(ライチとジャスミン茶)や「Trà Nhãn Sen」(リュウガンと蓮のお茶)があり、確認時はいずれもLサイズ65,000 VNDでした。「Vải」はライチ、「Nhãn」はリュウガン、「Lài」はジャスミンという意味です。果物だけでなく、お茶の種類まで見て選べるようになると、知らない商品名もぐっと読みやすくなります。桃にするかライチにするか迷ったら、飲み慣れた紅茶か、花の香りのお茶かを判断の軸にしてみましょう。
③ Coffee lovers are satisfied too: Phin Coffee & Freeze
お茶のイメージが強いフックロンですが、コーヒー派にも選択肢があります。ベトナム式フィンコーヒーなら、ミルクなしの「Phin Đen Đá」Mが35,000 VND、練乳入りの「Phin Sữa Đá」Mが39,000 VND。Đenは黒、Sữaは乳、Đáは氷を指します。練乳の甘みを楽しみたいなら後者、乳を入れずに飲みたいなら前者と覚えておくと便利です。ミルクを多めに使う「Bạc Xỉu」Lも45,000 VNDで並んでいました。
氷を砕いたフリーズ系の飲み物は、公式メニューでは「Đá xay」の欄で探せます。「Cà Phê Đá Xay」(コーヒーのアイスブレンド)は70,000 VND、「Chanh Đá Xay」(ライムのアイスブレンド)は59,000 VNDでした。通常のアイスコーヒーとは違い、飲み物と冷たいデザートの間のようなものを選びたいときの候補です。抹茶系も、アイスブレンドなのかラテなのかで仕上がりが違うので、商品写真と名前を一緒に見て選ぶと分かりやすいでしょう。
小腹が空いたときは、飲み物と一緒に店頭のパンや焼き菓子も見てみてください。公式サイトにはフードのカテゴリーもあります。一方、以前紹介されていた45,000 VNDのバインミーコンボは、今回、継続販売を確認できませんでした。セットを目当てに出向くより、その日にある軽食と組み合わせる使い方が現実的です。しっかり食事をする予定なら、カフェだけで済ませず前後の食事も考えておくとよいでしょう。
3. A café for travelers from a land of tea
Highlands CoffeeやTrung Nguyenなど、コーヒーを連想するブランドが多いベトナムで、フックロンはお茶から選び始めやすいカフェです。公式メニューでも、ミルクティーとフルーツティーがそれぞれ独立したカテゴリーになっています。「同行者はコーヒー派、自分はお茶派」というとき、別々の店を探さずに済むのはうれしいところ。コーヒーを飲まないからといって、カフェ巡りを遠慮する必要はありません。
ただし、日本で普段飲む無糖の煎茶と同じ感覚で頼むと、印象が違うかもしれません。ここで紹介したミルクティーや果物のお茶は、茶に乳や果物を合わせて楽しむ飲み物です。茶葉そのものに関心がある人は、最初に茶の種類が分かる商品を選ぶと好みを探しやすくなります。紅茶、烏龍茶、ジャスミン茶という見慣れた名前を手がかりに、普段とは違う組み合わせを試せるのが面白さです。
「コーヒー以外を飲みたい」と「カフェインを避けたい」は、分けて考えましょう。紅茶、烏龍茶、ジャスミン茶を使う商品は、果物が入っていてもカフェインなしにはなりません。カフェインを避ける必要がある場合は、果物の名前だけで判断せず、茶やコーヒーを含まない商品があるか店員に尋ねてください。ミルクなしのお茶を選ぶことも、カフェインを減らす方法とは別です。
長い歴史や加工工場を持つことは、このブランドを知るうえで大事な背景です。ただ、それだけでどの飲み物も誰にでも合うとは限りません。たとえば乳を避けたい人はミルクティーと果物のお茶を分けて考え、アレルギーがある場合には、名前だけでなく原材料も確認する必要があります。ブランドの知名度に頼り切らず、自分が飲みたいものを具体的に伝えることが、注文の行き違いを減らしてくれます。
4. A Practical Guide for Japanese Tourists
How to find a store:ホーチミン中心部なら63 Mạc Thị Bưởi店や、67 Lê LợiのSaigon Centre内4階の店舗が候補です。ハノイ旧市街なら82–84 Hàng ĐiếuのDragon店を探してみてください。公式店舗一覧では、マックティブオイ店は7:30〜22:00、ハンディエウ店は7:00〜22:30と案内されています(2026年9月確認)。地図では店名に番地も添えると支店を間違えにくくなります。スーパーに併設された小型店を利用する場合も、すべてのWinMartにあるわけではないので、店舗一覧で目的の支店を確かめましょう。
How to order:カウンターでは、商品名、サイズ、店内か持ち帰りかの順に伝えると整理しやすくなります。発音が難しければ、公式メニューの商品名や写真を見せてもよいでしょう。「Tại chỗ」は店内、「Mang đi」は持ち帰りです。甘さや氷の希望は会計前に伝えます。ただし、砂糖なしと頼んでも、あらかじめ甘みのある材料まで取り除けるとは限りません。以下の言葉を見せながら、その商品で調整できるか聞いてみてください。
- "Ít đường (it duong)" = less sugar
- "Không đường (khong duong)" = no sugar
- "Ít đá (it da)" = less ice
- "Nóng (nong)" = hot
Payment:カードやモバイル決済を使いたい場合は、注文前にレジの対応表示を確認しましょう。MoMoやZaloPayなどの表示があっても、自分のスマートフォンでそのまま利用できるとは限りません。短期旅行なら、現金の小額紙幣も用意しておくと支払いを切り替えやすくなります。ここでは、すべての支店で同じカードや決済方法が使えるとは案内していません。
Recommended way to visit:持ち帰る一杯なら移動経路上の店、座って休むなら客席のある通常店や旗艦店と、目的で選び分けましょう。Dragon店は設計会社の紹介で、2階がグループ向けの客席、3階が個人でも使えるワークスペース、屋上が旧市街を望む屋外空間とされています。暑さを避けたいときは屋内席、街並みを眺めたいときは天候を見て屋上、と選べるのが強みです。Wi-Fiや電源が必要な場合は、その支店の利用できる席で確認してください。
As a souvenir:フックロンは飲み物だけでなく、包装された茶やコーヒーも扱うブランドです。気に入ったお茶を持ち帰るなら、店頭で飲んだ商品名を見せて、近い茶葉があるか尋ねてみましょう。ミルクや果物を加えた店の一杯と、茶葉だけで淹れるお茶は同じ味にはなりません。贈る相手が急須を使うか、手軽なティーバッグを好むかで選ぶと、帰国後も楽しんでもらいやすくなります。包装に記載された内容量と淹れ方を見て、持ち帰りやすさも比べてください。
5. Summary
1968年にお茶の産地バオロックで生まれたフックロンは、茶・コーヒーの販売からカフェへと広がってきたブランドです。初めてなら看板ミルクティー、ミルクなしならピーチティー、コーヒーを飲みたいならフィン系という選び方ができます。確認した公式価格ではミルクティーLが60,000 VND、ピーチティーLが65,000 VND。自分の好みとサイズを決めてから選ぶと、豊富なメニューにも迷いすぎずに済みます。
街歩きの休憩なら近くの客席のある店、空間も楽しむならハノイのDragon店へ。緑のロゴを見つけたとき、「何を飲むか」だけでなく「どう過ごすか」も選べるようにしておくと、旅の途中の一杯が少し楽しみになります。
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