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ベトジェットエアが2026年7月11日、ハノイ〜プラハ間の定期便を就航させる。カザフスタンのアルマトイを経由するルートで、週2便・エアバスA330で運航する計画だ。カザフスタン民間航空委員会が運航を承認済みで、技術的な準備が最終段階に入っている。
今回の新路線は、ベトナムの首都ハノイとチェコの首都プラハを、カザフスタンのアルマトイ経由で結ぶ。単なる経由地としてのアルマトイではなく、ベトジェットはカザフスタンの「オープンスカイ」制度のもとで第五の自由(Fifth Freedom Rights)を取得した。これにより、アルマトイ〜プラハ間だけの搭乗券を独自に販売できる。つまり、ベトナム発着の旅客だけでなく、カザフスタンからプラハへ向かう旅客も取り込める仕組みだ。
近年、北部ベトナムとプラハを直接結ぶ定期便はほとんど存在せず、ハノイからプラハへは中東経由や欧州内乗り継ぎが主流だった。今回の路線は乗り継ぎの手間を大幅に減らし、移動時間の短縮が期待される。
チェコにはベトナム人ディアスポラ(移民コミュニティ)が約10万人規模で存在し、欧州でも有数のベトナム系人口を抱える国だ。里帰り需要は通年で根強く、旧正月(テト)前後には航空券価格が高騰する。また、チェコはビール・建築・温泉を目当てにした日本人観光客にも人気が高く、プラハは「東欧周遊」の起点として選ばれることが多い。
ベトジェットは2025年以降、国際線ネットワークを急拡大しており、インド・中央アジア・欧州への路線開設を相次いで発表している。今回のプラハ線は、その中欧戦略の象徴的な一手といえる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 就航日 | 2026年7月11日(予定) |
| 運航頻度 | 週2便 |
| 使用機材 | エアバスA330(ワイドボディ) |
| ルート | ハノイ(ノイバイ空港)→ アルマトイ → プラハ |
| 第五の自由 | アルマトイ〜プラハ間の独立販売が可能 |
| 参考運賃(片道) | 未発表(既存の欧州線を参考にすると片道3〜6万円台が予想される) |
| 参考運賃(円換算補足) | 1ドル=約155円で換算(2026年4月時点) |
プラハ在住のベトナム人コミュニティからは歓迎の声が上がっている。Facebookの在チェコ・ベトナム人グループでは「テト前に帰省するときの選択肢が増えるのは助かる」「中東経由より短いなら絶対使う」といった投稿が相次いだ。
旅行業界の関係者は「ベトジェットのLCCモデルが欧州線に適用されれば、ハノイ〜プラハ間の運賃相場が2〜3割下がる可能性がある」と指摘する。
また、カザフスタン側でもアルマトイ空港のハブ化に期待が集まっており、中央アジアの航空市場全体への波及効果が注目されている。
日本人旅行者にとって、この路線は「ベトナム旅行の延長で中欧を回る」という新しい選択肢を生む。たとえば、ハノイのカフェ巡りを楽しんだ後、そのままプラハへ飛ぶプランが組みやすくなる。
従来、日本からプラハへは中東経由(ドバイ・ドーハなど)で18〜22時間かかっていた。ハノイ経由なら、東京→ハノイ(約5.5時間)+ハノイ→プラハ(アルマトイ経由、推定10〜12時間)で、合計の所要時間は同程度だが、ハノイで数日滞在して旧市街の食べ歩きを組み込めるのが魅力だ。
ベトジェットのLCC価格で欧州に出られるなら、旅費全体を抑えつつ2カ国を楽しめる。ベトナムの物価ガイドも参考にしながら、滞在日数を柔軟に調整するとよいだろう。
アジアのLCCが欧州への定期直行便(経由地ありとはいえ)を運航する事例はまだ少ない。ベトジェットのプラハ線が安定した搭乗率を維持できれば、他のLCC各社も欧州路線に参入する動きが加速するとみられる。
ベトナム航空は既にロンドン・フランクフルト・パリへの直行便を運航しているが、プラハへの定期便は持っていない。ベトジェットが先にプラハ市場を押さえた形だ。
さらに、カザフスタンの第五の自由を活用した「二重収益モデル」は、路線の採算性を高める仕掛けとして注目に値する。ハノイ〜プラハの需要だけでなく、アルマトイ〜プラハの区間需要も取り込めるためだ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 航空会社 | ベトジェットエア(Vietjet Air / VJ) |
| 出発空港 | ノイバイ国際空港(HAN)、ハノイ |
| 経由地 | アルマトイ国際空港(ALA)、カザフスタン |
| 到着空港 | ヴァーツラフ・ハヴェル・プラハ国際空港(PRG) |
| 運航開始 | 2026年7月11日(予定) |
| 運航頻度 | 週2便 |
| 機材 | エアバスA330 |
| 予約 | ベトジェット公式サイト(運賃は就航日前に発表見込み) |
| 日本→ハノイ | 成田・羽田・関空からベトジェット/ベトナム航空等で約5.5時間 |
ベトジェットのハノイ〜アルマトイ〜プラハ線は、LCCが中欧へ踏み込む挑戦的な一手だ。第五の自由を活用した区間販売モデルは収益の安定化に貢献し、在チェコ・ベトナム人コミュニティの里帰り需要を確実に取り込むだろう。日本人旅行者にとっても、ベトナム主要都市の観光と中欧周遊を組み合わせる新しい旅のかたちが見えてきた。運賃発表を待ちつつ、夏の旅行計画に加えておきたい路線だ。