ベトナム南部の島フーコック、その南西端のサンセットタウンで上演されてきた海上ショー「Symphony of the Sea(シンフォニー・オブ・ザ・シー)」が、2026年11月に新版で立ち上がる。3シーズン目となる今回は、ステージも花火も水上のパフォーマンスも軒並み規模を拡大する。夕日で知られるこの一帯に、日が沈んだあとの目的地がもう一段はっきり加わることになる。フーコックで一泊以上する旅行者にとっては、夜の予定を組む理由が増える更新だ。
サンセットタウンの海上ステージが200mに伸びる
今回の新版で最も分かりやすい変化は、舞台そのものの大型化だ。海に張り出したステージは70メートルから200メートルへと伸び、演出が横に大きく広がる構成になる。花火を打ち上げるプラットフォームは840平方メートルから3,000平方メートルへ拡張され、花火の数はこれまでの3倍に増えるとされる。夜空と海面の両方を使う演出のスケールが、数字の上でもはっきり変わる。観客席から見て左右いっぱいに広がる舞台は、これまで一点に集まっていた視線を海全体へと散らす効果を持つ。
水上のパフォーマンスも厚みを増す。ジェットスキーは前シーズンの2倍以上にあたる14台、フライボードのパフォーマーは8名が加わり、各夜のショーにはおよそ30名が出演する。花火は国際的な2つの制作チームが担当し、DIFF(ダナン国際花火祭)で上位に入った実績を持つ中国・江西陽豊アートと、ポルトガルのマセドス・ピロテクニアが演出に関わる。DIFFはアジア有数の花火大会で、そこで腕を競ったチームが海上ショーの常設演出に入る点は、単発のイベントではなく通年で見せる興行としての設計を示している。
数字で見る新版の拡張点
旧版から何がどれだけ変わるのかを整理すると、拡張の方向がつかみやすい。以下は制作側が公表した主な更新点だ。
| Item | Until now | 新版 |
|---|---|---|
| ステージの長さ | 70メートル | 200メートル |
| 花火プラットフォーム | 840平方メートル | 3,000平方メートル |
| 花火の量 | 基準 | 約3倍 |
| ジェットスキー | 基準の半分以下 | 14台 |
| フライボード | — | 8名 |
| 1公演の出演者 | — | 約30名 |
周辺施設も合わせて更新される。ショーの舞台に近いサン・ババリア・ガストロパブは国際ビュッフェを100品目近くまで広げるとされ、ここは「世界最大のビーチフロント・ビアレストラン」としてギネス世界記録に認定されている店だ。ショーの前後に食事と一杯を組み込みやすくなり、夜の滞在時間が自然と長くなる設計になっている。
夜の海上演出をベトナムの旅にどう組み込むか
フーコックは南部の島で、フェリーや空路でアクセスする。日中はビーチやケーブルカー、夕方はサンセットタウンの名の通り夕日、そして夜に海上ショー、という一日の流れが作りやすい立地だ。夜のショーを軸にすれば、遅い時間まで島に滞在する理由ができ、日帰りではなく宿泊で組む動機になる。とりわけ夕日の名所とショー会場が同じ一帯にあるため、日没から夜の花火までを場所を大きく動かずに続けられるのは、この島ならではの強みだ。
ベトナムの夜の観光演出は各地で増えている。ダナンのドラゴンブリッジの火吹きショーのように、都市ごとに「夜に見るもの」が用意されつつあり、フーコックの海上ショーはその島版という位置づけになる。リゾート地で大型イベントが観光客を動かす構図は、ミス・ワールド決勝が初上陸、ニャチャンが2日で泊客9.5万人で見たニャチャンの例とも重なる。ビーチの島に夜の目的地を足すことで、滞在日数と一人あたりの消費を伸ばそうという流れだ。
訪れる前に確かめておきたいこと
新版の本格始動は2026年11月とされている。それより前に訪れる場合は、現行版が上演されているか、切り替えの準備で休演がないかを、宿や現地の案内で確かめておくのが安全だ。上演時刻やチケットの扱いは時期によって変わりうるため、旅程を固める前に最新情報を押さえておきたい。海に近い会場のため、夜は風が出て体感温度が下がることもある。薄手の羽織りを一枚持っておくと、開演を待つあいだも快適に過ごせる。
海の体験を絡めるなら、島ごとに趣が違う。産卵期に限った夜の体験としては、夜の浜に数百匹、コンダオ島でウミガメの産卵を見る夏の限定体験のような選択肢もあり、フーコックの華やかな演出とは対照的な静かな夜を味わえる。同じ「海の夜」でも、光と音で魅せるフーコックと、自然に寄り添うコンダオでは体験の質がまったく違う。旅の目的に合わせて選び分けるといい。
島の夜に投資が集まり始めた
ステージを3倍近い長さに伸ばし、花火エリアを3.5倍に広げるという規模の更新は、フーコックを昼のビーチだけの島にしないための投資だと読める。夜の目的地が固まれば、宿泊、飲食、送迎とお金が動く時間帯が増える。花火チームの起用や周辺のビュッフェ拡張まで含めて、島の夜そのものを商品に仕立てようという意図がうかがえる。旅行者の側から見れば、フーコックは「夕日を見て終わり」ではなく「夕日から夜のショーまで」の滞在先へと性格を変えつつある。11月以降にフーコックを検討している人は、夜の一枠をこの海上ショーに空けておくと、島での一日を最後まで使い切れる。
Sources:VnExpress International「Symphony of the Sea launches new edition in Phu Quoc」
