ベトナム南部の島、フーコックの空港で、新しい滑走路の校正飛行が2026年7月27日に完了した。全長3,300メートル・幅45メートルの滑走路はボーイング787やエアバスA350といった大型機の定期運航に対応する。日本からフーコックへの直行便はまだ無いが、直行便就航の前提条件を一つ潰したことで、乗り継ぎに頼ってきた日本人旅行者の行き方が数年かけて変わる可能性が出てきた。
3,300m・幅45mの新滑走路がB787とA350の定期運航を可能にする
今回運用に向けた最終段階に入ったのは、校正飛行(calibration flight)という工程だ。着陸を誘導する電波や計器が設計どおり出ているかを、専用機を実際に飛ばして測定する。使われたのはチェコ籍のビーチクラフトB300キングエア350ER。悪天候の雨のなかで測定を終えた。
滑走路はICAOのコードE規格で整備され、ボーイング787、エアバスA350、ボーイング777といったワイドボディ機を日常的にさばける。必要に応じてさらに大きいコードF機の受け入れも視野に入る。加えて24時間運用への道が開くと発表されており、深夜早朝の発着枠が増える余地が生まれる。工事は校正飛行のおよそ8か月前、2025年後半に始まっていた。
日本からフーコックは今も乗り継ぎ一択、直行便化の物理条件がそろった
フーコックはビーチとリゾートで知られる島だが、日本からの直行便は現時点で存在しない。旅行者はハノイかホーチミンで国内線に乗り継ぐか、バンコクやシンガポール経由で島に入っている。所要と乗り継ぎ回数がネックで、家族旅行やハネムーンの候補から外れやすかった。
大型機が発着できない滑走路では、そもそも日本発の長距離直行便を飛ばせない。今回3,300メートル級の滑走路が校正飛行まで到達したことは、直行便を検討するうえでの物理的な足かせが外れたことを意味する。就航が決まった話ではないが、路線を引く側が机上で検討できる土台ができた段階だ。
日本からフーコックへの主な行き方(2026年7月時点)
| Route | 乗り継ぎ地 | 国内線・区間の目安 | Characteristics |
|---|---|---|---|
| Via Ho Chi Minh City | タンソンニャット空港 | 国内線 約1時間5分 | 便数が多く最短。乗り継ぎしやすい |
| Via Hanoi | Noi Bai Airport | 国内線 約2時間10分 | 北部発着の旅程と組みやすい |
| バンコク経由 | Bangkok | 直行 約1時間20分(8月8日就航) | フルサービスの新路線 |
| シンガポール経由 | Singapore | 直行 毎日1便(機内食付き) | 東南アジア周遊と相性が良い |
サンフーコック航空の787発注40機が長距離直行を現実的にする
滑走路の話が旅行者に効いてくるのは、そこに就航計画が乗ったときだ。島を拠点にする新興航空サンフーコック航空は、ボーイング787-9を最大40機導入する契約を結び、フーコックと欧州・北米・アジア主要都市を直行で結ぶ構想を打ち出している。日本路線の開設も検討対象に挙がっている。
787は中型ながら航続距離が長く、日本とフーコックのような「需要はあるが超大型機を満席にするほどではない」区間に向く。大型機が発着できる滑走路と、長距離を飛べる機材の両方がそろって初めて直行便は成り立つ。今回の校正飛行完了は、その片方が整ったサインだ。ただし機材の導入も路線就航もこれからで、時期は公表されていない。過度な期待は禁物だが、乗り継ぎ前提だった旅程の選択肢が広がる方向にあるのは確かだ。
2027年APECに向けて島の受け入れ能力を底上げする工事
この滑走路整備は、2027年にフーコックで開かれるAPEC首脳会議を見据えたインフラ強化の一環でもある。APECには21の国と地域が参加し、各国の首脳や代表団、報道陣が島に集まる。専用機の受け入れや深夜早朝の発着に耐える空港が求められ、その水準に空港を引き上げる工事という位置づけだ。
国際会議に向けた整備は、終わったあとに一般の旅行者へ恩恵が回りやすい。会議のために増強された発着能力や周辺の道路・ホテルは、そのまま観光客の受け皿になる。フーコックを旅程に入れるなら、2027年前後にかけてアクセスと宿泊の環境が段階的に良くなる前提で計画を立てておくと動きやすい。
今フーコックへ行くなら、ホーチミン乗り継ぎ65分が最短の現実解
直行便を待つより、今動くなら乗り継ぎルートを押さえておきたい。最短はホーチミンのタンソンニャット空港で国内線に乗り換える経路で、区間はおよそ1時間5分。ベトナム航空とベトジェットが週に多数の便を飛ばしており、日本からの国際線と組み合わせやすい。北部を回る旅程ならハノイ乗り継ぎ、東南アジアを周遊するならバンコクやシンガポールの新しい直行路線を挟む手もある。
予約の際は、乗り継ぎ空港での入国・預け荷物の受け取り直しが発生するかを航空会社ごとに確認しておくと当日慌てない。フーコックはビザ免除の枠組みが手厚い時期があるため、渡航前に最新の入国条件を確認しておくと安心だ。
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