FEATURE
05
ベトナム観光当局の最新データによると、2026年1〜2月に韓国からベトナムを訪れた旅行者数が97万1,000人を超え、訪越外国人旅行者の中で最多となる送客国として韓国が急浮上していることが明らかになった。英国、ロシア、中国、インド、米国、オーストラリアなど多くの国からの訪越者数も急増しており、ベトナムが掲げる2026年の年間国際観光客2,500万人という野心的な目標の達成に向けて、力強い出足を見せている。
従来、ベトナムへの外国人旅行者の最大送客国は中国が占めていたが、2026年の1〜2月については韓国が97万1,000人超という数字を記録し、トップの座に躍り出た。これはベトナム観光史上でも注目すべき動向であり、韓国人旅行者のベトナムへの関心がいかに高まっているかを如実に示している。
韓国とベトナムの間には、直行便の充実した航空ネットワーク、ビザなし協定(韓国国籍者はベトナムへ45日間のビザなし渡航が可能)、そして長年にわたる文化・経済的なつながりがある。近年はベトナムが韓国のロマンチックドラマや映画のロケ地として注目されたことで、若いカップルや女性旅行者を中心に人気が急上昇した。また、韓国企業のベトナム進出が加速する中で、ビジネス目的の渡航も増加している。
2026年1〜2月の統計では、韓国に次いで多くの国・地域からの訪越者数が顕著な伸びを見せている。
英国:長距離旅行市場において、ベトナムは「一生に一度は行きたい目的地」として英国人の間でも高い人気を誇る。ハノイの旧市街、ハロン湾、ホイアンなどの世界遺産的な景観が特に評価されている。ヒルトン温泉リゾートのオープンなど、ハロン湾周辺の高級リゾート開発も英国人訪問者の関心を高めている。
中国:コロナ禍からの回復が進む中で、中国人旅行者のベトナム訪問も急速に回復している。地理的に近く、文化的な親近感もあることから、ダナン・フーコック・ニャチャンといったリゾート地だけでなく、ハノイや国境近くの北部山岳地帯も人気だ。
インド:インドからの訪越者数は近年急速に増加しており、2026年もこのトレンドが継続している。インドとベトナムは地理的に近く、直行便も増加傾向にある。フーコック島が特に人気の目的地となっており、ハネムーンや家族旅行の行き先として選ばれるケースが多い。
米国・オーストラリア:欧米市場でも、ベトナムは「文化・歴史・グルメ・自然が凝縮したコスパ最高の旅先」として評価が高い。米国ではベトナム系移民コミュニティとのつながりもあり、ルーツを訪ねる旅も増えている。オーストラリアからはホーチミン市や中部への直行便が増え、アクセスが改善されたことが訪問者増加に寄与している。
ベトナム観光局は2026年の年間国際観光客誘致目標として2,500万人を掲げている。2025年の実績が約1,700〜1,800万人水準であったことを考えると、2,500万人は非常に野心的な数字だ。しかし2026年1〜2月の出足の好調さを見る限り、目標達成は夢物語ではないと業界関係者は見ている。
ベトナム政府は観光振興のため、ベトナム国家観光年2026を制定し、国を挙げてのプロモーション活動を展開している。ビザ取得の緩和(多くの国籍に対する45日間のビザなし滞在)、国際航空路線の拡充、各地の観光インフラ整備などが相乗効果をもたらしており、外国人訪問者数の急増を後押ししている。
また、各地での大型イベントも集客に貢献している。ベトナム国際旅行見本市VITM2026では国内外のバイヤーが集まり、ベトナム観光の魅力を世界に発信した。サイゴン食文化フェスティバルのようなグルメイベントも、ホーチミン市への誘客に一役買っている。
この訪越者急増のニュースに対して、ベトナム国内では誇らしげな反応が多く見られる。「ベトナムが世界中の旅行者に選ばれている」という自信と誇りは、SNSや地元メディアのコメント欄でも如実に現れている。特に韓国がNo.1送客国になったことに対しては、「韓国との関係の深さを感じる」という声や「韓国人に愛されるベトナムが誇らしい」という肯定的な意見が多い。
一方で、急増する観光客に対するインフラ整備の遅れを懸念する声も聞かれる。「人気スポットの混雑が年々ひどくなっている」「ゴミ問題や環境負荷が心配」という指摘もあり、持続可能な観光開発の必要性が改めて議論されている。また、「外国人価格」の二重価格設定や観光地でのぼったくり問題に対しても、「ベトナムのイメージを損なう」として厳しい目が向けられている。
韓国をはじめ世界各国からの訪越者が急増していることは、日本人旅行者にとっても無関係ではない。特に以下の点に注意が必要だ。
主要観光地の混雑が年々激化:ハロン湾、ホイアン旧市街、フーコック島、ニャチャンビーチなど、定番の観光スポットは国際的な旅行者でますます混雑するようになっている。写真撮影や体験を楽しむためには、早朝の訪問やオフシーズンを選ぶことが以前にも増して重要になっている。
ホテル・航空券の価格上昇傾向:需要の急増に伴い、特に繁忙期の宿泊費・航空運賃は上昇傾向にある。かつての「格安ベトナム旅行」は少しずつ過去のものになりつつある。早期予約によるコスト管理がより重要になっている。
日本語対応の改善:韓国人・英語圏旅行者の増加に伴い、英語・韓国語対応は各地でさらに改善されているが、日本語については対応施設の差が依然として大きい。主要ホテルや旅行代理店では日本語スタッフが揃っているが、ローカルな食堂や交通機関では英語・ベトナム語が基本となる。翻訳アプリの活用を前提にした旅の準備を。
ベトナムコーヒーを楽しむ余裕を:世界中の旅行者が押し寄せる中で、ベトナム独自の文化体験はより貴重になっている。ベトナムコーヒーをローカルカフェでゆっくり楽しむ時間は、混雑した観光地巡りとは異なる、本当のベトナムを感じる体験だ。
2026年、ベトナムは韓国をはじめ世界各国からの旅行者を集め、「アジアで最も注目される観光地」としての地位を固めつつある。訪越外国人2,500万人という目標達成も現実的な射程に入ってきた。
日本からのベトナム旅行は、この競争が激化する前に計画するのが賢明だ。人気リゾートの価格上昇や混雑が進む前に、早めの予約と綿密な旅程計画が、より豊かなベトナム旅行体験につながる。ベトナムの魅力が世界に知れ渡っている今こそ、その魅力を自分の目で確かめに行く絶好のタイミングだ。