ベトナム北部の山岳ルート「ハーザン・ループ」では、2026年春、ツアーやレンタルバイクの安全管理が強化された。トゥエンクアン省文化・スポーツ・観光局は4月14日、旧ハーザン省エリアのバイクツアーについて、事業者の責任や契約・ガイド・保険などの確認を徹底すると発表している。山道の景色にひかれて参加を考えるなら、まず「誰が運転し、どこまで事業者が対応する旅なのか」を押さえたい。この記事では、確認できた対策と、日本人旅行者が出発前に整えるべき条件を分けて紹介する。
2026年春に強化された安全管理の内容
省観光局の発表によると、年初から事業者の検査計画を進め、3月には無許可ツアーなどを対象とする重点検査を計画、4月末まで複数回の点検を行うとしていた。ツアー会社には契約に沿った運行、ルートに応じた安全計画、有効な資格証を持つガイドの全行程同行などを求めている。4月16日の省公安発表も巡回や違反の取締りを伝える。確認できる対策の中心は、ツアー運営の点検と既存の交通ルールの徹底だ。道路の通行条件は、訪問日の現地情報と分けて確認する必要がある。
Speed limits and helmet regulations
- 速度は道路標識と現場の規制に従う。ループ全体に一つの数字を当てはめず、区間ごとの制限を確認する。標識の上限まで走れるという意味でもなく、急カーブや見通しの悪い場所では十分に減速する。
- ヘルメットは着用とあごひもの固定が必要。政府が示す政令168/2024の説明では、運転者の未着用・不適切な固定は40万〜60万ドンの罰金対象で、2025年1月からの全国的な制度だ。後席に乗る場合も、自分のヘルメットが正しく固定できるか出発前に確かめたい。
- 観光当局は日中に走り、暗くなったら走行を終えるよう勧めている。これは一律の時刻規制とは別の、安全のための行程づくりだ。マー・ピー・レン峠などの山道では、暗くなる前に宿へ着く行程を組む
休憩場所と緊急時の連絡先を決める
ループの距離や日数は経路によって変わる。観光当局のモデルコースにも4日間の例があり、町を離れると使えるサービスが限られると案内されている。出発前には休憩・給油地点と緊急時の連絡方法を事業者と確認しておきたい。救援がすぐ来ることや、どこでも電話が通じることを前提に予定を組まない方がよい。水、雨具、防寒着、予備電源を用意し、宿と保険会社の連絡先はオフラインでも見られる形で保存する。救急車の番号は115だが、外務省はベトナム語での連絡や搬送先の制約を挙げている。いざというとき誰が現地語で状況と位置を伝えるかも決めておくとよい。
The impact on Japanese motorbike tourists
International driving permits and cautions on local rentals
在ベトナム日本国大使館の2026年7月の案内では、日本の免許と日本発給の国際運転免許証は、ベトナムでは有効ではない。日本の国際免許は1949年ジュネーブ条約方式で、ベトナムが認める1968年ウィーン条約方式とは異なるためだ。ウィーン条約に基づく外国発給の国際免許を利用する場合にも、運転する車種に対応した有効な国内免許と併せて携帯する必要がある。日本の免許からの切替には条件と手続きがあり、短期旅行中に必ず取得できるとは考えない方がよい。レンタル店が鍵を渡してくれることと、合法的に運転できることは別だ。資格や山道の経験がそろわないなら、現地ドライバーの後席に乗るイージーライダーや、運転手付きの車で回る方法を検討したい。後席でも危険がなくなるわけではなく、運転者の資格と運行体制の確認は必要である。
旧ハーザン地域で文化保護や観光を支える日本人・Yasushi Oguraさんを扱った記事は、この地域を景色だけでなく暮らしの場として見る手がかりになる。モン族、タイー族、ザオ族などの文化に触れる旅では、集落の道をふさいで撮影したり、家や人を無断で撮ったりしない配慮も欠かせない。写真のためにカーブの途中で急停車せず、止まれる場所をガイドと相談する。眺める側の都合だけで行程を進めないことが、地域を訪ねる旅の基本になる。
What to prepare before traveling
- 予約先に運営会社名、旅行業の許可、契約書、ガイドの資格、運転者と車両の確認方法を尋ねる。宿泊・食事・入場料がどこまで料金に含まれ、悪天候で中止した場合にどう扱うかも書面で残す。「公認」と言われた場合も、どの許可や登録を指すのか確かめたい。
- 頭に合うヘルメットを事前に確かめる。フルフェイス型も候補にし、破損やあごひもの状態、手袋・プロテクターの有無を確認する。持参でもレンタルでも、大きすぎたり正しく固定できなかったりするものは避ける。
- 保険会社には、行き先、排気量、自分で運転するのか後席なのかを伝え、治療・救援搬送・賠償の補償範囲を確認する。補償は商品と契約によって異なり、無資格運転を免責とする商品もある。ツアー側の保険と自分の旅行保険の両方を確認し、回答を保存しておきたい。
- ハーザンを出る前と、ドンバンなど次の宿を出る前に、雨・霧・工事・通行止めの情報を宿や事業者へ確認する。疲れている日や視界が悪い日は、予定を短くする・出発を見送る選択肢を持つ。
A change in safety awareness across Vietnamese tourism as a whole
ベトナム政府広報が国家統計当局の数字をもとに伝えた2026年1〜3月の外国人訪問者数は約676万人で、前年同期比約12%増だった。四半期の観光動向を扱った記事and日本人客を含む入国動向の記事は全国の話であり、その増減からハーザンの事故率や安全性までは判断できない。今回の地域での点検は、契約、運転者、車両、ガイドなど、ツアーの中身を見直す動きとして捉えたい。参加者にとっても、人気や口コミの点数より、具体的な安全上の質問に答えてくれる事業者かどうかが重要になる。
マー・ピー・レン峠やニョークエ川の景観を楽しむ方法は、自分でバイクを運転することだけではない。まず免許と経験に合う移動方法を決め、次に事業者と装備・保険を確かめ、最後に天候を見て当日の行程を調整する。その順番なら、景色を見たい気持ちと無理のない計画を両立しやすい。2026年4月末の連休を扱った記事など、日付のある旅行情報は過去の案内として区別し、自分が訪れる日の道路状況を確認してほしい。安全対策の強化は、誰でも気軽に走れるという保証ではない。


