ベトナム北部のロロチャイ村で、古い土壁の家を残しながら暮らしを豊かにする。その取り組みを住民と続けてきた日本人が、Yasushi Ogura(おぐら・やすし)さんです。2026年3月の現地報道では69歳。初訪越から約30年にわたり交流を重ね、独学のベトナム語で住民と話し、ハーザンを第二の故郷と呼んでいます。舞台は旧ハー・ザン省、現在のトゥエンクアン省にある村です。注目したいのは支援額の大きさだけでなく、家を使い続ける理由を観光の仕事につなげた点です。
1995年の初訪越から、山岳地域との交流へ
Oguraさんは『Heritage』誌の2023年のインタビューで、1995年に初めてベトナムを訪れ、1999年には北西部へ足を延ばしたと話しています。旅を重ねるなかで関心を深めたのが、少数民族の文化や山間の古い建物でした。初訪越の年と、ロロチャイ村で活動を始めた時期は分けて捉える必要があります。
VnExpressの2026年3月23日付記事は、2010年にロロチャイ村を訪れ、土壁の家がコンクリート建築へ置き換わる様子を見たと伝えています。ロロチャイの表記はLô Lô Chảiで、スンラー谷のLũng Cẩmとは別の村です。残そうとしたのは、見栄えのよい外観だけではなく、土壁の伝統家屋と、そこで続く暮らしでした。住民には住みやすさを求める事情もあります。古い家を残す話は、雨漏りや衛生設備など日常の不便をどう改善するかと切り離せません。
約2億ドンを投じたカフェと、家を残す仕組み
VnExpressとDân tríの2026年3月の報道によると、Oguraさんは約2億ベトナムドンを投じ、2014年に伝統家屋を使った「クックバックカフェ(Cà phê Cực Bắc)」を開きました。VnExpressは建物を築約200年と紹介しています。資金を建物の使い道と結びつけたことが、その後の活動につながりました。
発想の核は、伝統家屋をカフェとして使い、維持するための収入につなげることでした。Dân tríは、建物を生かしつつトイレや小さなカウンターを整備し、その後は家族へ運営を引き継いだと伝えています。外から店を持ち込んで終わるのではなく、住民自身が仕事を続けられる形にしたことが、この事例を読むうえで大切です。
| Year | Event |
|---|---|
| 1995 | 初めてベトナムを訪問 |
| 2010 | VnExpressが伝えるロロチャイ訪問の年 |
| 2014 | クックバックカフェ開設、報道の投資額は約2億ドン |
| 2025 | UN TourismのBest Tourism Villagesに選出 |
住民が担う観光と、2025年の国際的な評価
支援は開業資金だけではありません。VnExpressは、ハノイから大学生2人を連れてきて飲み物の作り方や読み書きを教え、ホームステイや石壁の整備も手伝ったと報じています。一方、UN Tourismの村紹介が重視するのは、住民が主体となる観光です。一人の支援者の功績だけでなく、家を整え、宿を営み、次の世代へ技術を伝える住民の働きにも目を向けたいところです。
2026年3月23日のVnExpressに掲載された村長の説明では、52世帯がホームステイ型の地域観光に参加し、1世帯当たりの月平均収入は約3,000万ドンとされています。取材時点の説明であり、全住民一人ひとりの収入や、今後の利益を保証する数字ではありません。村は2025年、国連の観光専門機関UN TourismのBest Tourism Villages(ベスト・ツーリズム・ビレッジ)に選出されました。「世界で一番」という順位ではなく、文化保全などを評価する取り組みです。
同じ取材で村長は、Oguraさんを家族のように迎えていると話しています。長年の交流を伝える言葉ですが、旅行者がそのままどの家にも入ってよいという意味ではありません。訪問や撮影は相手の了承を得る。その小さな配慮から、旅先での関係は始まります。
A message for Japanese travelers
ロロチャイ村は、ルンクーの国旗塔に近い山岳地域にあります。土壁の家や石垣を見るだけなら短い立ち寄りもできますが、暮らしとの関わりを知りたいなら、地元の家族が営む宿やガイドに話を聞けるか確かめてみてください。文化は観光客のための演目だけではありません。家庭や祭祀の場所では、案内された範囲を守ることが前提です。
- Access:観光当局が示すハノイから約6時間はハーザン市街までの目安です。村まではさらに山道の移動が必要。予約時にはバスの降車地と宿までの送迎を別々に確認してください
- Best season:観光当局はハーザン地域の9〜11月を訪問時期の目安としています。花や収穫の見頃は場所・年で変わるため、村の宿へ直前の様子を尋ねましょう
- Recommended:滞在を選ぶなら、家族運営か、食事や交流の機会があるかを確認。個室・浴室・暖房・対応言語も宿ごとに違うので、期待する過ごし方を先に伝えると選びやすくなります
- Note:山道では雨・霧や道路状況で所要時間が変わります。夜行移動の直後に無理な行程を組まず、休息と明るいうちの移動を優先してください
この村の取り組みは、訪問者数だけでは捉えきれません。日本人を含む訪越客の動向を扱った関連記事もありますが、全国の統計と村の暮らしへの効果は別の話です。旅先で何にお金を使い、誰がその仕事を担っているのかを見てみると、宿や体験を選ぶ基準が増えます。
周遊を考える場合も、北部の山岳滞在と中部ダナンは近隣観光地ではありません。ダナンの4月の水かけイベントを扱った記事は開催年と移動日を確認して検討する別の行き先です。また、Phu Quoc Island's visa exemption detailsは島固有の制度を扱うため、北部への入国条件の代わりにはなりません。日本の旅券で本土を訪れる場合は、在ベトナム日本国大使館の「ベトナム出入国情報」で、自分の滞在日数と旅券の条件を確認してください。
Summary
Oguraさんとロロチャイ村の歩みが示すのは、古い建物を残すことと、そこに住む人の生活を良くすることを両立させる工夫です。旅人として訪れるなら、まず無理のない移動と宿を決め、村では許可を得て話を聞いたり、食事や飲み物を楽しんだりする。写真を撮る場所としてだけでなく、誰かが暮らし続ける場所として接することが、この物語を旅に生かす一歩になります。
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