ベトナムコーヒーの世界へようこそ。コンセプトページはこちら
カフェ

チュングエン・レジェンド完全ガイド|歴史とメニュー

ベトナムを訪れたなら、一度は足を運んでほしいカフェがある。それがTrung Nguyên Legend(チュングエン・レジェンド)だ。ベトナム中央高原で生まれた一杯のコーヒーが、いまや世界60カ国以上に届けられている。高級感ある店内で味わう本場のベトナムコーヒーは、旅の記憶に深く刻まれるはずだ。

1. ベトナムコーヒーの代名詞:チュングエンの歴史

チュングエン・グループの物語は、1996年、ベトナム中央高原の都市バンメトート(Buôn Ma Thuột)で始まった。創業者のダン・レ・グエン・ヴー(Đặng Lê Nguyên Vũ)氏は、わずか数平方メートルの焙煎所と旧式の手動焙煎機だけでコーヒー事業をスタートさせた。当初は焙煎した豆を他店に卸す小さな商売にすぎなかった。

転機は1998年。ホーチミン市フーニュアン区に最初の直営カフェをオープンし、消費者に直接コーヒーを届けるビジネスモデルへと舵を切った。2003年には、サイゴン統一会堂でインスタントコーヒー「G7」のブラインドテストを実施。参加者の89%がG7を支持するという結果を叩き出し、ベトナム国内での知名度を一気に高めた。

現在、チュングエン・グループは「Trung Nguyên Legend Café(レジェンド・カフェ)」「Trung Nguyên E-Coffee(イーコーヒー)」「Trung Nguyên Legend Coffee World(レジェンド・コーヒーワールド)」の3ブランドを展開している。レジェンド・カフェは約100店舗超のプレミアム路線、E-Coffeeは800店舗以上を擁するカジュアル路線と、それぞれ異なるターゲットを持つ。日本人観光客が「本物のベトナムコーヒー体験」を求めるなら、迷わずレジェンド・カフェを選びたい。

2. これだけは外せない!おすすめメニュー

チュングエン・レジェンドのメニューは、フィンドリップからエスプレッソ系まで幅広い。価格帯はスタンダードな一杯が35,000VND(約210円)前後、プレミアムラインは89,000〜170,000VND(約530〜1,020円)ほど。日本のスペシャルティコーヒー店と比べれば手頃な価格で、最高峰の豆を堪能できる。

① Sáng tạo(創造)シリーズ

チュングエンを語る上で欠かせないのが「Sáng tạo(サンタオ=創造)」シリーズだ。番号ごとに豆のブレンド比率が異なり、味の個性がはっきりと分かれる。

「Sáng tạo 1」は、厳選されたクリ・ロブスタ(丸豆)のみを使用。深煎りで力強く、自然な甘みが広がる一杯だ。ベトナムコーヒーらしい濃厚さを求める人に向いている。コンデンスミルクとの相性も抜群で、初めてベトナムコーヒーを飲む人にまずおすすめしたい。

「Sáng tạo 3」は、バンメトート高原産のアラビカ種「チャウ(Chari)」を使ったブレンド。フローラルでバニラのようなニュアンスがあり、苦みが少なく飲みやすい。日本人の味覚にもなじみやすい上品な一杯といえる。

「Sáng tạo 5」は、バンメトート高原のクリ・アラビカ(丸豆アラビカ)を手摘みで厳選した100%アラビカコーヒー。複雑で奥行きのある風味が特徴で、コーヒー通をうならせる。店内ではフィンドリップで提供されることが多く、1杯50,000〜70,000VND(約300〜420円)程度で楽しめる。

② 伝説のウィーゼルコーヒー

メニューの最高峰に君臨するのが「Cà Phê Chồn(カフェ・チョン)」、いわゆるウィーゼルコーヒーだ。ジャコウネコの消化酵素による独特の発酵プロセスを経た豆を使い、チュングエンでは生物発酵技術を応用した「Weasel Legend」として提供している。

ベトナム、ジャマイカ、ブラジル、エチオピアから厳選された最高級豆を原料とし、年間生産量はわずか40〜50kgという希少品だ。店内での一杯は約170,000VND(約1,020円)。日本で同等品を飲めば数千円は下らないことを考えれば、ベトナム滞在中にぜひ体験しておきたい。まろやかさの中に深いコクがあり、雑味のないクリアな後味が印象的だ。

③ 定番:フィンドリップコーヒー

ベトナムコーヒーの原点ともいえるのが、アルミ製フィルター「フィン(Phin)」で一滴ずつ抽出するフィンドリップだ。チュングエン・レジェンドでは、伝統的なフィンを使ったブラック(Cà Phê Đen)やミルクコーヒー(Cà Phê Sữa)を35,000VND(約210円)前後で提供している。

おすすめの飲み方は「Cà Phê Sữa Đá(カフェ・スア・ダー)」。グラスの底にコンデンスミルクを敷き、その上からフィンでゆっくり抽出したコーヒーを落とす。氷を加えてかき混ぜれば、甘くて濃厚なアイスミルクコーヒーの完成だ。暑いベトナムの街歩きの合間に飲む一杯は格別で、フィンからコーヒーが落ちるのを待つ時間そのものが、ベトナムらしいゆったりとした旅の醍醐味になる。

そのほか、エッグコーヒー(Cà Phê Trứng)が約86,000VND(約520円)、バクシウ(Bạc Xỉu=甘めのミルクコーヒー)が約59,000VND(約350円)と、ベトナムならではのメニューも充実している。

3. コーヒーの聖地:Legend店舗の空間体験

チュングエン・レジェンドの店舗に足を踏み入れると、一般的なカフェチェーンとの違いにすぐ気づくだろう。内装のコンセプトは「図書館」。知識を追い求める人々への敬意を込めて設計されており、重厚な木製家具、落ち着いた照明、そして壁一面に並ぶ書棚が空間を構成している。

ホーチミン市のアレクサンドル・ドゥ・ロード通り12番地にある旗艦店には、12の主要分野にわたる100タイトル・16,000冊以上の書籍を収めた「人生を変える基盤の本棚」が設置されている。コーヒーを片手に読書にふけるもよし、書棚を背景にした写真映えするインテリアをSNSに投稿するもよし。喧騒から離れた都会のオアシスとして、観光の合間にゆったりと過ごせる場所だ。

さらに特別な体験を求めるなら、ホーチミン中央郵便局内の「Trung Nguyên Legend Coffee World」を訪れてほしい。オスマン・ローマン・禅という世界3大コーヒー文明をテーマにした文化空間で、3Dマッピング技術を使ったコーヒー文明の歴史ショーやトップバリスタによるブレンディングパフォーマンスを楽しめる。

バンメトート市にある「世界コーヒー博物館」も見逃せない。開館から3年で300万人以上が来場した世界初のアートコーヒーセンターで、コーヒー好きにとってはまさに聖地巡礼だ。

4. 日本人観光客のための実践ガイド

店舗の見つけ方:ホーチミン市、ハノイ、ダナンなど主要都市の繁華街やショッピングモール内に出店している。Googleマップで「Trung Nguyên Legend」と検索すれば最寄り店舗がすぐに見つかる。観光エリアの1区(ホーチミン市)やホアンキエム湖周辺(ハノイ)には複数店舗があり、アクセスしやすい。

注文のコツ:メニューはベトナム語と英語の併記が基本。写真付きのメニューが用意されている店舗も多いので、言葉に不安があっても指差し注文で問題ない。初めてなら「Cà Phê Sữa Đá」+「Sáng tạo 3」の組み合わせが無難だ。苦みが少なくミルクとの調和がよい。

予算の目安:スタンダードなコーヒー1杯とスイーツで100,000〜150,000VND(約600〜900円)。ウィーゼルコーヒーを頼んでも250,000VND(約1,500円)以内に収まる。日本のカフェと同等かそれ以下の価格帯で、はるかに上質な空間とコーヒーを味わえる。

お土産の購入:レジェンド店舗では、焙煎豆やドリップバッグのパッケージ商品も販売している。「Sáng tạo」シリーズの豆(250g入り)はお土産に最適だ。ウィーゼルコーヒーの豆も購入可能だが、希少品のため在庫がないこともある。事前に店舗に確認するとよい。

滞在時間の目安:フィンドリップは抽出に5〜10分かかるため、最低30分は見ておきたい。書棚のある空間でゆったり過ごすなら1時間程度が理想だ。Wi-Fiも完備しているので、観光の合間の休憩拠点としても重宝する。

5. まとめ

チュングエン・レジェンドは、単なるカフェではなく、ベトナムのコーヒー文化そのものを体験できる場所だ。バンメトートの小さな焙煎所から始まった物語は、いまや世界60カ国以上に広がり、ベトナムを代表するコーヒーブランドとなった。

35,000VND(約210円)のフィンドリップから170,000VND(約1,020円)のウィーゼルコーヒーまで、予算に合わせて「ベトナムコーヒーの最高峰」を味わえる。図書館のような重厚な空間で、フィンからゆっくりと落ちるコーヒーを眺める時間は、ベトナム旅行のハイライトになるだろう。ホーチミンやハノイを訪れた際は、ぜひ一杯のコーヒーに込められたベトナムの情熱を感じてほしい。

ベトナムの活気ともに事業を伸ばしていく。
広告掲載募集中

小島 怜

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

関連記事

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

TOP