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フックロン完全ガイド|お茶好き必見の老舗カフェ

ベトナムのカフェといえばコーヒーのイメージが強いかもしれません。しかし、ホーチミンやハノイの街角で緑とテラコッタを基調としたスタイリッシュな看板を見かけたら、ぜひ足を止めてみてください。それがPhuc Long Coffee & Tea(フックロン)——ベトナムで半世紀以上の歴史を持ち、「お茶もコーヒーも、どちらも本気」という稀有なカフェチェーンです。日本人にとって馴染み深いお茶文化を軸に、ベトナムらしいフルーツティーやミルクティーが楽しめるこのブランドを、メニューから注文方法まで徹底的にご紹介します。

1. 1957年、高原の茶畑から始まった物語

フックロンの始まりは、1957年のラムドン省バオロックにまで遡ります。標高約800メートルの中部高原に広がるこの地は、霧に包まれた冷涼な気候と肥沃な赤土に恵まれ、ベトナム屈指のお茶の産地として知られています。創業者ラム・ボイ・ミン氏はここで茶園を拓き、良質な茶葉の栽培に心血を注ぎました。

1970年代に入ると、活動の場をホーチミン市へと広げ、茶葉の加工工房を設立。さらに2007年にはタイグエンとビンズオンに農園と工場を拡大し、2018年には第2工場を稼働させるなど、生産基盤を着実に強化してきました。「Farm to Cup(農園からカップへ)」を掲げるフックロンにとって、自社農園で茶葉やコーヒー豆を育て、自社工場で加工し、直営店で提供するという一気通貫の体制は、単なるマーケティング用語ではなく、半世紀以上かけて築き上げたビジネスそのものです。

2021年にはベトナムの大手コングロマリット・Masan Groupが20%を出資。これを機に、同グループが展開するWinMartスーパーマーケット内にキオスク型店舗を急速に展開し、現在では直営店約200店舗に加え、多数のキオスクを運営しています。さらにアメリカのガーデングローブやサンノゼにも出店し、海外展開も本格化しています。

2024年には大規模なリブランディングを実施し、「伝統とモダンの融合」をテーマに店舗デザインを刷新。その象徴がハノイ旧市街のハンディエウ通り82番地にオープンしたフラッグシップ店「Phuc Long Dragon」です。温かみのあるグリーンとテラコッタの内装、Tea Masterコーナー、茶の旅をテーマにしたアート作品が飾られた店内は、まるで茶文化の小さな美術館。老舗の矜持と新しい感性が見事に調和した空間に仕上がっています。

2. これだけは外せない!おすすめメニュー

フックロンのメニューは全63種類。お茶系、コーヒー系、フリーズ(かき氷系ブレンドドリンク)まで幅広く揃い、価格帯は25,000〜65,000 VND(約150〜390円)と非常にリーズナブルです。初めての方が迷わないよう、3つの柱に分けてご紹介します。

① 不動の王者:フックロン・ミルクティー

フックロンを語るうえで、このメニューを外すことはできません。自社農園で栽培された茶葉をベースに、濃厚なミルクと絶妙なバランスで合わせた一杯は、タピオカミルクティーとは一線を画す本格派。茶葉そのものの香りと旨味がしっかりと感じられます。

価格は35,000〜50,000 VND(約210〜300円)。日本のカフェチェーンでミルクティーを頼めば500円前後はかかりますから、そのコストパフォーマンスの良さにも驚かされます。甘さの調整も可能なので、注文時に「ít đường(イットドゥオン=砂糖少なめ)」と伝えると、すっきりとした味わいを楽しめます。

② フルーツティーの至宝:ピーチティー

ベトナム語で「Trà Đào(チャー・ダオ)」と呼ばれるピーチティーは、フックロンが火付け役となってベトナム全土に広まったともいわれる人気メニューです。桃の果肉がゴロゴロと入った華やかな一杯で、ジャスミンティーをベースにしたさわやかな後味が特徴。50,000 VND(約300円)で、暑いベトナムの街歩きの清涼剤として最適です。

ピーチティーのほかにも、ライチティー(Trà Vải)やパッションフルーツティーなど、南国ならではのフルーツティーが豊富に揃っています。フルーツの甘みと茶葉の渋みが織りなすハーモニーは、日本ではなかなか出会えない味わいです。

③ コーヒー派も満足:フィンコーヒー&フリーズ

お茶のイメージが強いフックロンですが、コーヒーメニューも侮れません。ベトナム式のフィンドリップで淹れた伝統コーヒーは、深煎り豆のコクとコンデンスミルクの甘みが絡み合う、ベトナムらしさ全開の一杯。コーヒー好きなら一度は試しておきたい定番です。

また、暑さしのぎにぴったりなのが「フリーズ」シリーズ。コーヒーやお茶をベースにしたかき氷風のブレンドドリンクで、スターバックスのフラペチーノに近い感覚で楽しめます。グリーンティーフリーズは抹茶好きの日本人にもハマる味わいで、デザート代わりにもなります。

小腹が空いたときには、バインミーコンボ(45,000 VND/約270円)もおすすめ。ベトナム式サンドイッチとドリンクのセットで、軽食としてちょうどいいボリュームです。

3. お茶の国から来た旅人のためのカフェ

ベトナムのカフェチェーンの多くは、コーヒーを看板メニューに据えています。Highlands Coffeeしかり、Trung Nguyenしかり。その中でフックロンは、お茶がコーヒーと同等、あるいはそれ以上の存在感を持つ珍しいブランドです。この特徴こそが、日本人旅行者にとっての大きなアドバンテージとなります。

日本はいうまでもなく世界有数のお茶文化を持つ国。煎茶、ほうじ茶、抹茶に親しんだ舌を持つ私たちにとって、フックロンのお茶系メニューは非常に入りやすい入口です。ベトナム中部高原で育てられた茶葉は、日本茶とはまた異なる力強い香りと深みがあり、「アジアのお茶」の新たな側面を発見する楽しさがあります。

コーヒーが苦手な方、カフェインを控えたい方でも、フルーツティーやハーブティーなど選択肢が豊富なので安心です。旅行中、「コーヒーはもう飲み飽きた」と感じたときの駆け込み寺としても、フックロンは頼りになる存在です。

また、半世紀以上にわたって自社農園で茶葉を育ててきたという背景は、品質に対する信頼感につながります。ベトナムの食の安全に不安を感じる方もいるかもしれませんが、Farm to Cupの一貫体制を持つフックロンは、その点でも安心してオーダーできるブランドといえるでしょう。

4. 日本人観光客のための実践ガイド

店舗の探し方:フックロンは全国に約200店舗を展開しており、ホーチミンやハノイの主要エリアなら徒歩圏内で見つけられます。Google Mapsで「Phuc Long」と検索すれば最寄り店舗がすぐに表示されます。また、WinMartスーパー内のキオスクでも購入可能なので、お土産の買い物ついでに立ち寄るのも便利です。

注文方法:カウンターで注文するスタイルが基本です。メニュー表には英語表記と写真があるので、指差し注文でも問題ありません。甘さや氷の量を聞かれることがあるので、以下のベトナム語を覚えておくと役立ちます。

  • 「Ít đường(イットドゥオン)」=砂糖少なめ
  • 「Không đường(コンドゥオン)」=砂糖なし
  • 「Ít đá(イットダー)」=氷少なめ
  • 「Nóng(ノン)」=ホット

支払い:現金のほか、主要なクレジットカードやモバイル決済(MoMo、ZaloPay等)に対応している店舗がほとんどです。ただしキオスク店舗では現金のみの場合もあるので、小額紙幣を用意しておくと安心です。

おすすめの訪問スタイル:フックロンは基本的にテイクアウトが中心の店舗が多いですが、Dragon店のようなフラッグシップ店では広い座席スペースがあり、ゆっくりと過ごせます。観光の休憩スポットとして利用するなら、路面店や商業施設内の大型店舗を選ぶとよいでしょう。Wi-Fiも完備されているので、次の目的地を調べながら一息つくのに最適です。

お土産として:フックロンでは茶葉やドリップコーヒーのパッケージ商品も販売しています。自社農園のお茶は日本へのお土産としても喜ばれます。軽くてかさばらないので、スーツケースの隙間に忍ばせるのにぴったりです。

5. まとめ

1957年にバオロックの高原で産声を上げたフックロンは、半世紀以上の時を経て、ベトナムを代表するカフェチェーンへと成長しました。自社農園から届く茶葉とコーヒー豆、200を超える店舗網、そして25,000 VND(約150円)から楽しめるリーズナブルな価格。お茶文化に親しんだ日本人にとって、ベトナムのカフェ体験の最良の入口となるブランドです。

ホーチミンの街角で緑とテラコッタの看板を見つけたら、迷わず扉を開けてみてください。一杯のミルクティーが、ベトナムのお茶文化への小さな旅の始まりになるはずです。

ベトナムの活気ともに事業を伸ばしていく。
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小島 怜

京都で食品ブランドを運営しながら、これまで乾燥野菜や野菜パウダーなど、素材の魅力を活かした商品づくりに携わってきました。現在はベトナム在住2年目で、現地ではコーヒーの生産現場にも関わり、栽培から加工、味づくりまで一貫して学んでいます。毎日の暮らしの中で、安心して楽しめる食品を届けたいという思いから、生産背景や作り手の顔が見える商品を大切にしています。日本とベトナム、それぞれの食文化の魅力を活かしながら、日常にちょっとした豊かさを届けることを目指しています。

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