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ベトナムのカフェをもっと知りたい方は、Passio Coffeeのギャラリーページもあわせてご覧ください。
ホーチミンの朝は、バイクの波とともに始まります。通りに面した小さな窓口で、バイクに乗ったままコーヒーを受け取り、そのまま職場へ向かう——そんなベトナムならではの光景を生み出した立役者が、Passio Coffee(パシオコーヒー)です。
2006年にホーチミン市で創業したPassioは、ベトナム初のテイクアウト専門コーヒーチェーンとして誕生しました。創業者のドアン・ディン・ホアン氏は、かつてベトナム最大のコーヒー企業チュングエン・グループに在籍していた人物。コーヒー業界の知見を活かし、「手軽に、美味しく、毎日飲めるコーヒー」というコンセプトで事業をスタートさせました。
ブランド名の「Passio」は「Passion(情熱)」に由来しています。その名の通り、コーヒーへの情熱を原動力に、現在では全国に80店舗以上を展開するまでに成長しました。ピスタチオグリーンの看板が目印で、ホーチミン市内を歩けば至るところで見かけることができます。
Passioの最大の特徴は、そのテイクアウト文化にあります。創業当初は窓口だけの小さな店舗が主流で、椅子すら置いていない店も珍しくありませんでした。2017年からはイートインスペースを備えた店舗も増え始めましたが、今でも多くの店舗ではテイクアウトが主力。バイク社会のベトナムだからこそ根付いた、まさに「テイクアウト王国」なのです。
日本のコンビニコーヒーに慣れた方なら、このスタイルにすぐ馴染めるはず。しかもPassioのコーヒーは、ローカル価格でありながら品質が高いと評判です。五つ星ホテルのコーヒーに匹敵する味わいを、街角の小さな窓口で手に入れられる——それがPassioの魅力です。
Passio Coffeeのメニューは、ベトナムコーヒーの定番からイタリアンスタイルまで幅広く揃っています。旅行者にぜひ試してほしいメニューをご紹介します。
カフェ・スア・ダー(Cà Phê Sữa Đá)
ベトナムコーヒーの王道。濃厚なロブスタ種のコーヒーに練乳をたっぷり加え、氷で冷やした一杯です。Passioでは25,000〜35,000VND(約150〜210円)で楽しめます。甘さと苦さの絶妙なバランスは、暑いベトナムの気候にぴったりです。
カプチーノ
Passioのカプチーノは、滑らかなテクスチャーと美しいフォームアートで人気です。価格は35,000〜45,000VND(約210〜270円)。日本のカフェチェーンで飲むカプチーノの半額以下で、本格的な一杯が味わえます。
パシオ・チョコ・シャンティイ(Passio Choco Chantilly)
チョコレート好きにはたまらない、Passioオリジナルのスイーツドリンク。チョコレートの層が幾重にも重なり、贅沢な味わいが楽しめます。39,000〜49,000VND(約230〜290円)程度です。
ヨーグルトスムージー
コーヒーが苦手な方には、ヨーグルトベースのスムージーがおすすめ。マンゴーやパッションフルーツなど、トロピカルフルーツを使ったメニューが充実しています。30,000〜45,000VND(約180〜270円)で、暑さをしのぐのに最適です。
イタリアン・パニーニ
ドリンクだけでなく、フードメニューも見逃せません。焼きたてのイタリアン・パニーニは39,000VND(約230円)から。朝食やランチの軽食として、コーヒーとの相性も抜群です。
Passio Coffeeで最もユニークな体験は、朝の通勤ラッシュ時に訪れることです。午前7時から8時半頃、ホーチミンの主要な交差点付近のPassio店舗には、バイクに乗ったベトナム人ビジネスパーソンたちが次々と立ち寄ります。
注文から受け取りまでわずか1〜2分。スタッフは手際よくコーヒーを作り、ビニール袋に入れて手渡します。受け取った人はそのままバイクのハンドルに袋をかけて走り去っていく——この光景こそ、ベトナムのリアルな日常です。
観光客がこの体験を楽しむなら、朝のグエンフエ通り(Nguyen Hue)やレロイ通り(Le Loi)周辺の店舗がおすすめです。歩道に面した窓口スタイルの店舗で、ローカルに混じってテイクアウトしてみてください。たった3万VND程度で、観光ガイドブックには載っていない「本物のベトナム体験」が手に入ります。
また、Passioはスマートフォンアプリも提供しており、事前注文やポイント制度も利用できます。アプリはApp Storeからダウンロード可能で、旅行中に何度も利用するなら登録しておくと便利です。
イートインスペースがある店舗では、エアコンの効いた店内でゆっくり過ごすこともできます。Wi-Fiも完備されているため、観光の合間の休憩スポットとしても活用できるでしょう。ただし、Passioの真髄はあくまでテイクアウト。一度はローカルスタイルで、歩きながらコーヒーを片手に街を散策してみることをおすすめします。
店舗の見つけ方
ピスタチオグリーンの看板が目印です。Google Mapsで「Passio Coffee」と検索すれば、周辺の店舗がすぐに見つかります。ホーチミン市内だけでも数十店舗あるため、観光エリアなら徒歩圏内にほぼ確実に見つかるでしょう。
予算の目安
ドリンク1杯の相場は25,000〜55,000VND(約150〜330円)。フードを合わせても100,000VND(約600円)以内で収まることがほとんどです。現金のほかMoMoなどの電子決済にも対応している店舗が増えています。
注文のコツ
メニューにはベトナム語と英語が併記されています。指差し注文でも問題ありません。サイズはS・M・Lの3種類が基本。甘さの調整は「ít đường(イッ・ドゥオン)=砂糖少なめ」と伝えれば対応してくれます。
営業時間
多くの店舗が朝6時30分〜7時頃から夜22時頃まで営業しています。早朝から開いているため、朝一番の観光前にコーヒーを調達するのに最適です。
おすすめの訪問タイミング
ローカル体験を重視するなら平日の朝7〜8時。ゆっくり過ごしたいなら午後14〜16時の比較的空いている時間帯がおすすめです。
Passio Coffeeは、ベトナムのテイクアウトコーヒー文化を象徴するカフェチェーンです。高級カフェのような洗練された空間こそありませんが、ローカルの日常に溶け込んだリアルなコーヒー体験ができる場所として、旅行者にも強くおすすめできます。
一杯150円程度から楽しめる手軽さ、バイク文化と一体になったテイクアウトスタイル、そして何より毎朝ベトナム人が通い続ける確かな品質。Passioは、ガイドブックの有名カフェとは一味違う「ベトナムの日常」を体験できる貴重なスポットです。ホーチミンを訪れたら、ぜひ朝の通勤時間帯にPassioの窓口に立ち寄って、ベトナム流のコーヒーライフを体感してみてください。
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