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ベトナムのカフェをもっと知りたい方は、King Coffeeのギャラリーページもあわせてご覧ください。
ベトナムのコーヒー業界には、ドラマチックなストーリーがあります。その中心にいるのが、King Coffee(キングコーヒー)の創業者、レ・ホアン・ディエップ・タオ氏です。彼女は、ベトナム最大のコーヒー企業チュングエン(Trung Nguyen)グループの共同創業者として知られる人物。2003年にはG7インスタントコーヒーの開発を主導し、世界60か国以上、10億人以上に消費されるベトナムを代表するコーヒーブランドを築き上げました。
しかし、その後の個人的な事情からチュングエンを離れ、2016年に自らの手で新たなブランド「King Coffee」を立ち上げます。パリ・バイ・ナイト(Paris By Night)という人気番組で、世界60か国のベトナム人視聴者に向けて華々しくお披露目されたKing Coffeeは、瞬く間に注目を集めました。
タオ氏の哲学は明確です。ベトナムは世界第2位のコーヒー生産国でありながら、国際的なブランド力では先進国のコーヒー企業に大きく遅れをとっている。その状況を変え、ベトナムコーヒーを世界のプレミアムブランドとして確立すること——それがKing Coffeeのミッションです。
現在、King Coffeeはシンガポールに本社を置くTNIグループの旗艦ブランドとして、カフェチェーンの展開とインスタントコーヒーの販売を二本柱に急速に成長しています。ベトナム国内では主要都市にカフェ店舗を展開し、アメリカや中国、韓国、オーストラリアなど世界各国にも進出。ベトナムコーヒーの国際化を牽引する存在となっています。
King Coffeeのカフェでは、ベトナムの伝統的なコーヒー文化と、グローバルスタンダードのカフェメニューが融合した独自のラインナップが楽しめます。
キング・コーヒー・スア・ダー
King Coffee流にアレンジされたベトナムの国民的ドリンク。自社で厳選・焙煎したベトナム産コーヒー豆を使用し、練乳との黄金比で仕上げた一杯です。35,000〜45,000VND(約210〜270円)。チュングエンの伝統を受け継ぎながらも、よりクリーンで洗練された味わいが特徴です。
G7レジェンド・コーヒー
かつてタオ氏が開発に携わったG7ブランドの精神を受け継ぐプレミアムコーヒー。ベトナム中央高原バンメトートの豆を使用した、深いコクと香りが楽しめます。45,000〜55,000VND(約270〜330円)。
ラテ・アート・シリーズ
エスプレッソベースのラテやカプチーノも充実しています。King Coffeeのバリスタはラテアートにも力を入れており、見た目にも美しい一杯を提供。55,000〜69,000VND(約330〜410円)。
フリーズドライ・コーヒー
King Coffeeが誇るプレミアムインスタントコーヒー。フリーズドライ製法により、豆本来の香りと風味を閉じ込めた逸品です。カフェで試飲したあと、お土産として購入する旅行者も多い人気商品。店頭で一杯30,000〜39,000VND(約180〜230円)で味わえます。
トロピカル・フルーツ・ドリンク
コーヒー以外にも、ベトナムのフレッシュフルーツを使ったジュースやスムージーが揃っています。マンゴー、パッションフルーツ、ドラゴンフルーツなど、南国ならではのフレーバーが楽しめます。39,000〜55,000VND(約230〜330円)。
ベトナム産コーヒー豆・ギフトセット
カフェ店舗ではオリジナルのコーヒー豆やインスタントコーヒーのギフトセットも購入できます。パッケージデザインも洗練されており、お土産にも最適。50,000〜300,000VND(約300〜1,800円)。
King Coffeeの最大の特徴は、そのグローバル志向にあります。ベトナム発のコーヒーブランドとして、世界市場への挑戦を続けるその戦略は、旅行者にとっても興味深い「ビジネスストーリー」です。
アメリカ・カリフォルニア州への進出は、King Coffeeの国際展開における大きなマイルストーンとなりました。コーヒー文化の中心地ともいえるアメリカ市場で、ベトナムコーヒーの認知度を高める挑戦は今も続いています。さらに、中国、韓国、シンガポール、オーストラリア、インドなど、アジアを中心に世界各国へと販路を拡大しています。
国内でも「E-Coffee」というフランチャイズモデルを導入し、急速にカフェネットワークを拡大中です。ラグジュアリー、プレミアム、エクスプレスの3つの店舗モデルを展開し、さまざまな立地やターゲットに対応。グローバルで3,000店舗の展開を目標に掲げています。
ベトナムのコーヒー産業は世界第2位の生産量を誇りますが、その多くは未加工の生豆として輸出されてきました。King Coffeeが目指しているのは、この構造を変えること。生産国であるベトナム自身がブランドを持ち、付加価値の高い製品として世界に届ける——そんなビジョンがKing Coffeeの原動力になっています。
バンメトート(Buon Ma Thuot)には新たな工場も建設され、付加価値の高い加工コーヒーの生産体制を強化しています。ベトナムのコーヒー産業の「これから」を知りたいなら、King Coffeeは格好の入口となるでしょう。
旅行者がKing Coffeeの店舗を訪れれば、単なるカフェ体験にとどまらず、ベトナムコーヒー産業のダイナミックな変化を肌で感じることができます。店内に陳列されたコーヒー製品のパッケージには、多言語表記がされているものも多く、このブランドの国際的な野心が伺えます。
アクセス
ホーチミン市やハノイの主要エリアに店舗があります。Google Mapsで「King Coffee」と検索すれば最寄りの店舗が見つかります。E-Coffeeのフランチャイズ店舗も含めると、ベトナム各都市で見つけやすいブランドです。
予算の目安
ドリンク1杯は30,000〜69,000VND(約180〜410円)。ローカルチェーンとスターバックスの中間の価格帯です。お土産のコーヒー豆やインスタントコーヒーは50,000〜300,000VND(約300〜1,800円)。ドリンクとお土産を合わせても500,000VND(約3,000円)以内で収まるでしょう。
お土産のおすすめ
King Coffeeのインスタントコーヒーは、ベトナム旅行のお土産として非常に人気があります。個包装になっているため、職場へのばらまき土産にも最適。スーパーマーケットでも購入できますが、カフェ店舗では試飲してから買えるのがメリットです。プレミアムライン「King Coffee Legend」のフリーズドライコーヒーは、コーヒー好きの方への特別なお土産としておすすめです。
営業時間
多くの店舗が7時〜22時の営業です。ショッピングモール内の店舗は施設の営業時間に準じます。
支払い方法
現金のほか、カード決済やMoMoなどの電子決済に対応している店舗が増えています。ただし、小規模なE-Coffee店舗では現金のみの場合もあるため、少額の現金を持っておくと安心です。
King Coffeeは、ベトナムコーヒー業界の「もうひとつの物語」を体現するブランドです。チュングエン・グループの共同創業者が新たに立ち上げたこのブランドには、ベトナムコーヒーを世界に届けるという壮大なビジョンが込められています。
カフェとしての居心地の良さに加え、インスタントコーヒーやコーヒー豆のお土産も充実しているため、旅行者にとっては「飲んで、買って、持ち帰れる」万能なスポットです。ベトナムコーヒーの伝統と革新が交差するKing Coffeeで、この国のコーヒー産業のエネルギーを感じ取ってください。一杯のコーヒーの向こうに、世界に挑むベトナムの姿が見えるはずです。
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