FEATURE
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ホーチミンは、初めて訪れる人にも不思議と優しい街です。
地図を広げれば確かに大きく、人口も多く、バイクの波は圧倒的。それでも街全体が放つ空気は、どこか人懐っこく、観光客を拒まない温かさがあります。南国の強い日差しと絶え間なく走るバイク、路上に広がる生活。そのすべてが重なり合い、ホーチミンという都市の輪郭を形づくっています。

この街を象徴するのは、圧倒的なエネルギーです。朝は早くから屋台が動き始め、昼にはオフィス街と市場が混ざり合い、夜になると街は別の顔を見せます。高層ビルの足元では、プラスチックの小さな椅子に腰掛けて食事をする人たちが並び、数メートル先では洗練されたルーフトップバーが営業しています。
新しさと古さ、ローカルとグローバルが同時に存在していることが、ホーチミン観光の最大の特徴です。
ホーチミンを歩くと、まず目に入るのがカフェの多さです。
ベトナムにおけるカフェは、単なる飲食店ではなく、生活の一部として機能しています。出勤前、仕事の合間、夕方の休憩、夜の待ち合わせ。時間帯ごとに違う人たちが集まり、それぞれの過ごし方があります。歩道沿いの簡素なカフェから、古い建物をリノベーションした隠れ家のような店まで選択肢は幅広く、どこに入っても街の一部に溶け込める感覚があります。
観光の合間にカフェで一息つくだけで、ホーチミンのテンポが自然と身体に馴染んできます。
ベトナムコーヒーは、濃厚で甘みのあるコンデンスミルクと組み合わせるスタイルが定番です。
フィルターでゆっくりと抽出される様子を眺めながら待つ時間も、この街の楽しみ方のひとつ。急がず、焦らず、街のリズムに身を任せる。そんな時間の使い方が、ホーチミンでは自然と身につきます。
路地裏に入り込むと、地元の人しか知らないような小さなカフェに出会えることがあります。
看板も目立たず、入口も分かりにくい。それでも一歩足を踏み入れると、そこには静かで心地よい空間が広がっています。こうした発見こそが、ホーチミン旅行の醍醐味です。
市場もまた、この街を知るための重要な場所です。

ベンタイン市場に代表される観光客向けの市場は、ホーチミンの入口として分かりやすく、土産物やローカルフードが一通り揃います。一方で、少し中心から外れたローカル市場に足を運ぶと、観光とは無関係な日常がそのまま広がっています。食材を選ぶ人、立ち話をする人、バイクで荷物を運ぶ人。市場は生活の交差点であり、歩くだけでこの街の体温が伝わってきます。
観光客向けの市場では、値段交渉が基本です。
最初に提示される価格は高めに設定されていることが多いため、笑顔で交渉を楽しむ姿勢が大切。言葉が通じなくても、電卓を使ったり、ジェスチャーを交えたりすることで、コミュニケーションは成立します。
観光地化されていない市場では、地元の人たちの日常が垣間見えます。
新鮮な野菜や魚介類が並び、活気ある声が飛び交う。そんな光景の中に身を置くだけで、ホーチミンの生活感を肌で感じることができます。
ホーチミン観光の面白さは、名所を巡ることだけにありません。
むしろ、予定を詰めすぎず、路地裏に入り込むことで、この街の本質が見えてきます。大通りから一本入ると、洗濯物がはためき、子どもが遊び、食事の匂いが漂います。観光地として整えられていない場所ほど、ホーチミンらしさは濃くなります。初めは戸惑っても、しばらく歩けば、その雑多さが心地よく感じられるようになります。
路地裏には、地元の人たちが通う小さな食堂が点在しています。
メニューはベトナム語のみ、看板も簡素。それでも、指差しや身振り手振りで注文すれば、驚くほど美味しい料理が出てくることがあります。こうした偶然の出会いが、旅の記憶を特別なものにします。
観光客が少ない住宅街を歩くと、ホーチミンの素顔が見えてきます。
家の前で談笑する人たち、路上で遊ぶ子どもたち、バイクを洗う若者たち。そんな何気ない光景が、この街の魅力を形づくっています。
夜のホーチミンは、昼とはまったく違う表情を見せます。

気温が少し下がり、人の動きが活発になり、街全体が開放的になります。屋台の明かり、音楽、バイクのエンジン音。高層ビルの上から夜景を眺めるのも良いですが、地上で人の流れに身を任せることで、街の鼓動をより強く感じられます。観光客と地元の人が自然に混ざり合う夜の空気は、ホーチミンならではのものです。
夜になると、街のあちこちに屋台が現れます。
フォーやバインミー、生春巻きなど、ベトナム料理の定番メニューが並びます。プラスチックの小さな椅子に座り、地元の人たちと肩を並べて食事をする。そんな体験が、ホーチミンの夜を特別なものにします。
高層ビルのルーフトップバーからは、ホーチミンの夜景を一望できます。
きらめく街の明かりと、遠くまで続く道路の光。そんな景色を眺めながら、この街での時間を振り返る。そんな贅沢な時間も、ホーチミン旅行の楽しみ方のひとつです。
ホーチミンは、歴史を学ぶ都市でもあります。
街の中には、フランス統治時代の建築や戦争の記憶を伝える場所が点在しています。ただ、それらは厳かに隔離されているわけではなく、日常の風景の中に溶け込んでいます。過去と現在が同時に存在している感覚は、この街に深みを与えています。観光として訪れていても、単なる消費では終わらず、考えるきっかけを与えてくれます。
サイゴン大教会や中央郵便局など、フランス統治時代の建築は今も現役で使われています。
美しい外観と歴史的価値を持ちながら、日常の中に存在している。そんな姿が、ホーチミンの魅力を象徴しています。
戦争証跡博物館では、ベトナム戦争の記憶が展示されています。
重い内容ではありますが、この街の歴史を理解する上で欠かせない場所です。訪れることで、ホーチミンという都市がどのような道を歩んできたのかを知ることができます。
ホーチミンを語る上で、バイクは欠かせない存在です。

街中を走るバイクの数は圧倒的で、初めて見る人は驚くかもしれません。しかし、このバイクの流れこそが、ホーチミンのリズムを作り出しています。配車アプリ「Grab」を使えば、バイクタクシーを簡単に呼ぶことができます。風を感じながら街を移動する体験は、ホーチミンならではの楽しみ方です。
Grabは、タクシーやバイクタクシーを呼べる配車アプリです。
アプリをダウンロードし、目的地を入力するだけで、近くのドライバーが迎えに来てくれます。料金も事前に表示されるため、ぼったくりの心配もありません。日本にいる間にダウンロードし、電話番号認証を済ませておくことをおすすめします。
バイクタクシーは、車よりも安く、渋滞もすり抜けられるため便利です。
ただし、排気ガスが気になる場合はマスクを着用すると良いでしょう。風を感じながら街を駆け抜ける体験は、忘れられない思い出になります。
ホーチミン観光において大切なのは、効率よりも感覚です。
予定通りに動かなくても、思わぬ発見があります。暑さに疲れてカフェに逃げ込んだ時間、道に迷ってたどり着いた食堂、偶然入った店で交わした短い会話。そうした断片が積み重なり、旅の記憶になります。
この街は、完璧に理解しようとすると難しく感じます。しかし、理解しきれないまま滞在することを受け入れると、途端に心地よくなります。ホーチミンは、見る都市ではなく、身を置く都市です。数日滞在するだけでも、帰る頃には自分の中にこの街のリズムが残ります。
観光が終わっても、ふとした瞬間に思い出す。その余韻こそが、ホーチミンという都市が持つ、最大の魅力です。
ホーチミン旅行の楽しみ方は、人それぞれです。
カフェ文化に浸るのも、市場で買い物をするのも、路地裏を散策するのも、夜の街を歩くのも、すべてがこの街の魅力です。大切なのは、予定に縛られすぎず、街のリズムに身を任せること。そうすることで、ホーチミンという都市が持つ本当の魅力に触れることができます。
初めての方でも、この街は優しく迎え入れてくれます。あなただけのホーチミンの楽しみ方を、ぜひ見つけてください。
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