FEATURE
01
ベトナムの街を歩けば、必ずと言っていいほど目にする鮮やかな赤と茶色のロゴマーク。それが、ベトナム全土を席巻する国民的カフェチェーン、「ハイランドコーヒー(Highlands Coffee)」です。
「ベトナムのスターバックス」とも称されるこの巨大チェーンは、単なるコーヒーショップではありません。伝統的なベトナムコーヒーの濃厚な味わいと、現代的なカフェスタイルを完璧に融合させた、ベトナムの現代カルチャーそのものを象徴する場所なのです。
本記事では、創業の歴史から、絶対に注文すべきおすすめメニュー、そして現地の楽しみ方まで、ハイランドコーヒーの魅力を余すところなくご紹介します。
ハイランドコーヒーの物語は、創業者のデビッド・タイ(David Thai)氏によって始まります。彼はベトナム系アメリカ人として海外で育ちましたが、祖国への強い想いを抱いて帰国しました。
当時、ベトナムは世界第2位のコーヒー生産国でありながら、付加価値の高いブランドとして確立された国内チェーンが存在しませんでした。路上で飲む「ストリートコーヒー」が主流だった時代に、彼は「清潔で、モダンで、かつベトナムの誇りを感じられるコーヒーチェーン」を作ることを決意します。
1998年にブランドが設立され、2002年にハノイで第1号店がオープン。フランス植民地時代の影響を受けた建築やデザインを取り入れつつ、メニューには徹底して「ベトナム人の味覚」に合うロブスタ種の豆を採用しました。
この「西洋的なスタイル」と「ベトナムの魂(ソウル)」の融合こそが、ハイランドコーヒーが外資系チェーン(スターバックスなど)の参入後も圧倒的なシェアを誇り続ける理由です。現在では国内に数百店舗を展開し、ベトナム人の生活に欠かせないインフラのような存在となっています。
ハイランドコーヒーのメニューは非常に豊富ですが、初めて訪れるなら以下の3つのカテゴリーから選ぶのが正解です。
ベトナムに来たならこれを飲まずには帰れません。**「Phin(フィン)」**と呼ばれる独自のフィルターでじっくりと抽出した濃厚なロブスタコーヒーに、たっぷりのコンデンスミルク(練乳)と氷を加えたものです。
暑いベトナムで絶大な人気を誇るのが、氷と一緒にブレンドしたフローズンドリンク「フリーズ」です。特に以下の2つは鉄板です。
コーヒーが苦手な方や、リフレッシュしたい時におすすめなのが「ゴールデン・ロータス・ティー(Tra Sen Vang)」です。 香り高いハス茶(蓮茶)をベースに、甘く煮た**「蓮の実」**がトッピングされています。さらに、クリームチーズのような塩気のあるミルクフォームが乗っており、「お茶+塩クリーム+甘い蓮の実」という絶妙なハーモニーが楽しめます。
ハイランドコーヒーはフードメニューも優秀です。特にベトナム風サンドイッチ「バインミー」は、専門店にも負けないクオリティと評判です。
店内でリベイクしてくれるため、パンの外側はカリッと、中はふんわりとした食感を楽しめます。具材はポーク、チキン、フィッシュケーキ(さつま揚げ風)などがあり、パクチーやなます(大根と人参の酢漬け)がたっぷり入っています。
朝食や軽いランチとして、濃厚なカフェ・スア・ダーと一緒にバインミーを頬張るのが、ハイランドコーヒー流の最も贅沢な過ごし方と言えるでしょう。価格も非常に手頃(約100円〜200円程度※レートによる)で、コストパフォーマンスは抜群です。
ハイランドコーヒーの戦略の一つが「一等地への出店」です。ハノイのオペラハウスの近くや、ホーチミンの大聖堂の目の前、交差点の角地など、街のランドマークとなる場所に店舗を構えています。 テラス席が用意されている店舗も多く、バイクが行き交うベトナムの喧騒を眺めながらコーヒーを飲む時間は、旅のハイライトになるはずです。
基本的にはセルフサービス方式です。
ハイランドコーヒーは、単なる休憩スポットではありません。そこは、伝統的なコーヒー文化を大切にしながら、急速に発展するベトナムのエネルギーを感じられる場所です。
路上のプラスチック椅子で飲むコーヒーも風情がありますが、ハイランドコーヒーの洗練された空間で、クーラーの効いた涼しい店内で楽しむ「現代のベトナムコーヒー」もまた格別です。
ベトナムを訪れた際は、ぜひあの赤いロゴを目指して歩いてみてください。最初の一口、強烈な苦味と甘味のハーモニーを感じた瞬間、あなたはきっとベトナムという国の虜になっているはずです。
コメント