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コーヒーショップで「シングルオリジン」という言葉を見かけたことはありませんか?
シングルオリジンコーヒーとは、単一産地のコーヒー豆だけを使用したコーヒーのことです。特定の国や地域、さらには単一の農園で生産されたコーヒー豆のみを混ぜることなく仕入れ、その産地特有の個性を楽しめるのが最大の特徴となっています。
ワインと同じように考えるとわかりやすいでしょう。同じフランス産ワインでも、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュと産地によって味わいが異なります。コーヒーも同様に、ブラジルという生産国の中でも、農園ごとに土壌環境や気温が異なり、生産者はその土地に合った品種を選び、独自の生産方法で栽培しているため、おのずと個性が生まれるのです。
コーヒーを選ぶ際、シングルオリジンとブレンドの違いを理解しておくことが重要です。
ブレンドコーヒーは、複数の産地のコーヒー豆を組み合わせたものです。様々な産地の豆をそれぞれの特徴を活かしながらうまく混ぜ合わせることで、味のバランスが取れたコーヒーに仕上がります。いわば、お店の特徴がわかる看板商品と言えるでしょう。甘みや酸味といった味のバランスが整っており、安定した風味を楽しめるのが魅力です。
一方、シングルオリジンは単一品種という意味で使われることが多いですが、本来は農場や農園、生産者までのトレーサビリティ(追跡可能性)が求められます。つまり、土地や気候、農場、生産者の努力によっても味は変わるというところまで注目する、奥深い世界なのです。
産地特有の風味があり、ストロベリーのような、紅茶のような、といった特徴的な表現が存在するほど個性的な味わいを持っています。まるで、味の表現が多様なワインの世界のようです。
シングルオリジンコーヒーを選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。
コーヒーの栽培地域は赤道周辺の「コーヒーベルト」と呼ばれる帯状の地帯に集中しています。
ラテンアメリカのコーヒーは、ナッツを思わせる香ばしい味わいやココアパウダーのような上品な香りが特徴です。コロンビアはみずみずしい酸味やほのかなハーブの風味、グアテマラはやわらかなスパイスの上品な香りが印象的です。
アフリカのコーヒーは、フルーティで鮮やかな味わいが特徴的です。ケニアはジューシーな酸味とグレープフルーツやブラックカラントを思わせる風味、エチオピアはなめらかな口あたりと花や果実のような香りを持ちます。
コーヒー豆は収穫後の処理方法がいくつかあり、その違いも銘柄の個性として表れます。同じ原産国、同じ地域だとしても、農場ごとに精製方法が異なるため、味わいに違いが生まれるのです。ウォッシュトやナチュラルといった精製方法ごとにロットを分けることで、より細かい個性を楽しめるようになっています。
生産地特有の個性を際立たせるように焙煎されているのがシングルオリジンの特徴です。浅煎り、中煎り、深煎りなど、焙煎度合いによって同じ豆でも味わいが大きく変わります。浅煎りは酸味と香りが際立ち、深煎りはコクと苦味が強調されます。
生産地特有の風味を伝えてくれるシングルオリジンコーヒー。その風味を堪能するために、ぜひ試してほしいのが飲み比べです。
例えば、ラテンアメリカのコロンビアとアフリカのケニアを飲み比べると、それぞれのコーヒーの味わいの違いがより引き立ちます。コロンビアはナッツを思わせる香ばしい味わい、ケニアはフルーティで鮮やかな味わいという対照的な特徴を持っています。
通常のパックは250g入りですが、100g以上であれば量り売りで購入できる店舗も多いため、シングルオリジンを100gで購入して飲み比べるのがおすすめです。
シングルオリジンは、追跡可能性(トレーサビリティ)に優れています。今までは大まかにまとめられていた産地情報も、シングルオリジンコーヒーでは追跡することができます。
例えば、ホンジュラスのインテグラル・シプレス農園は3代に続く家族経営の農園で、最初は0.2haと小さな農園でしたが、資金を貯めながら少しずつ大きくなり、現在は8.5haで栽培できるまでになっています。木の一本一本に注意を払うことができるため非常に丁寧な仕事をされており、その丁寧な仕事ぶりは見事にコーヒーに反映されています。
このような産地のストーリー、生産者の顔が見えることもシングルオリジンの魅力です。
初めてのお店では、まずおすすめのブレンド豆を購入し、お店の味やそのお店が目指している方向性が自分の好みに合っているか確認するのがよいでしょう。そして、そのお店が気に入ったならば、豆の風味をよりダイレクトに感じられるシングルオリジンの豆を試していくという流れがおすすめです。
定番のブレンド+気分によって変えるシングルオリジンというような形でバランスよく注文すると、コーヒーライフがより充実します。たくさん飲み比べることで、好きな味の傾向がより明確になってくるでしょう。
シングルオリジンコーヒーは、単一産地の豆を使用し、生産地特有の個性的な風味をより強く感じられるコーヒーです。
ブレンドコーヒーが味のバランスを重視するのに対し、シングルオリジンは産地、農園、生産者の個性をダイレクトに味わえるのが魅力です。土壌、気候、標高、精製方法、焙煎度合いなど、様々な要素が複雑に絡み合い、唯一無二の味わいを生み出しています。
コーヒーは農作物であり、人の仕事によって美味しくなっています。チェリーをどこまで熟した状態で収穫できるか、収穫した後どんな精製を行っているか、どんな品種でどんな環境で育てられているか。そんな豆ごとの個性を楽しめるのがシングルオリジンコーヒーの醍醐味です。
飲み比べを通じて、ラテンアメリカの香ばしさ、アフリカのフルーティさ、アジアの独特な風味など、世界中のコーヒー文化に触れることができます。生産者のストーリーを知ることで、一杯のコーヒーがより深い意味を持つようになるでしょう。
まずは定番のブレンドから始めて、お気に入りの店を見つけたら、シングルオリジンに挑戦してみてください。100gの少量から試せるので、様々な産地のコーヒーを気軽に楽しめます。あなたの好みに合った、特別な一杯がきっと見つかるはずです。
コーヒーを味わうことは、世界のどこかの誰かの努力と風景を感じることでもあります。シングルオリジンコーヒーで、あなたのコーヒーライフをもっと豊かにしてみませんか?
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