コラム

ロブスタ種の特徴とは。ベトナムコーヒーは苦いだけ?のコーヒーなのか

コーヒー好きなら一度は耳にしたことがあるかもしれません。ベトナムロブスタ種。

実はベトナムは世界第2位のコーヒー生産国であり、特にロブスタ種の生産では世界トップを誇っています。その生産量はブラジルに次ぐ規模で、世界のコーヒー市場において重要な位置を占めているんです。

ベトナムでのコーヒー栽培は、フランス植民地時代に遡ります。当初はアラビカ種が導入されましたが、ベトナムの気候に合わず広まりませんでした。その後、ロブスタ種が持ち込まれ、ベトナムの気候と相性が良かったことから、コーヒー栽培が急速に発展していったのです。

ベトナムのコーヒー農園の風景

ベトナムコーヒーの魅力は、その独自の文化と豊かな風味にあります。街角のカフェに立ち寄れば、エッグコーヒーやココナッツコーヒーといったユニークな一杯に出会えるでしょう。

でも、そもそもロブスタ種って何なのでしょうか?アラビカ種との違いは?そして、なぜベトナムロブスタが特別なのか?今回は、ベトナムロブスタの特徴と深い味わいの秘密に迫ります。

ロブスタ種の特徴と魅力

ロブスタ種は、コーヒーの主要な品種の一つです。アラビカ種と比べると、いくつかの際立った特徴があります。

まず、その名前の由来からして特徴的。「ロブスタ(Robusta)」は英語の”robust”(強健な)に由来しており、その名の通り病気や害虫に強い性質を持っています。高温多湿の気候に適応しやすく、アラビカ種の栽培に適さない地域でも育ちやすいのが特徴です。

ロブスタ豆とアラビカ豆の比較

味わいの面では、ロブスタ種は苦みが強く、煎った麦の香りや「麦茶」「大豆」を連想させる独特の香りが特徴です。酸味は少なめで、コクと苦味が際立ちます。カフェイン含有量はアラビカ種の約2倍と言われており、より力強い刺激を求める方に好まれます。

ロブスタ種はその特性から、主にインスタントコーヒーや缶コーヒーの原料として使われることが多いです。また、エスプレッソブレンドに加えることで、コクと深みを増す役割も果たしています。

ベトナムのロブスタ種は、特に深い味わいと強い個性で知られています。

どうして、そんなに特別なの?

それは、ベトナムの気候風土と独自の栽培・製法にあるんです。

ベトナムコーヒーの農園

ベトナム高原地域ならではの品種

ベトナムロブスタが持つ独特の味わいは、いくつかの要因によって生み出されています。

まず、ベトナムの中央高地地方の気候が大きく影響しています。この地域は標高が高く、昼夜の温度差が大きいため、コーヒー豆がゆっくりと成熟し、複雑な風味を発展させるのに理想的な環境なんです。

ベトナムロブスタの特徴として、インドネシアのロブスタと比較すると、より強烈な香りと力強い味わいが挙げられます。あるコーヒーロースターの言葉を借りれば、「インドネシア・ロブスタは比較的すっきりとした味わいの中に強い独特の香りがしてくる。一方で、ベトナム・ロブスタは、すっきり感があまり感じられず、飲んだ瞬間から『クセが強い』と思えるほど」なのです。

ベトナム式コーヒーの淹れ方

この「クセの強さ」こそが、ベトナムロブスタの魅力であり、コアなファンを魅了する理由です。特に「クラシック(昭和)ブレンド」と呼ばれる昔ながらの喫茶店風味を再現するには、ベトナムロブスタの「強烈な香り」が不可欠だと言われています。

製法と焙煎の特徴

ベトナムでは伝統的に非水洗式(ナチュラル)と呼ばれる製法が主流です。これは、コーヒーの実を果肉ごと乾燥させ、その後に種子(コーヒー豆)を取り出す方法です。この製法により、果実の甘みや風味が豆に移り、より複雑な味わいが生まれます。

焙煎度合いは一般的に深煎り(フレンチロースト)が好まれ、これによって豆本来の特性が引き立ち、独特の風味が強調されるのです。

ベトナムコーヒーの楽しみ方

ベトナムロブスタの魅力を最大限に引き出すには、伝統的なベトナム式の淹れ方がおすすめです。ベトナムでは「カフェ・フィン」と呼ばれる金属製のドリッパーを使います。このフィルターでゆっくりと抽出することで、濃厚なコーヒーが楽しめるんです。

伝統的なベトナムコーヒーの淹れ方

  1. コップに加糖練乳を20g入れておきます
  2. カフェ・フィンをコップに乗せ、コーヒー粉(中細挽き)を20g入れます
  3. お湯を注ぎ、30秒ほど蒸らします
  4. ゆっくりと円を描くようにお湯を注ぎ、最後の一滴まで落ち切るのを待ちます
  5. 出来上がったコーヒーと下の練乳をかき混ぜて飲みます
ベトナムコーヒーのバリエーション

ベトナムコーヒーは、その濃厚な味わいと練乳の甘さが絶妙にマッチして、まるでコーヒースイーツのような味わいを楽しめます。ベトナムでは暑い気候のため、アイスで飲まれることが多いのも特徴です。甘すぎるのが苦手な方は、牛乳で割ることで甘さを控えることもできますよ。

アレンジバリエーション

ベトナムには、エッグコーヒーやココナッツコーヒーといった独創的なバリエーションもあります。エッグコーヒーは卵黄と砂糖、コンデンスミルクを泡立てたクリーミーな層をコーヒーの上に乗せた飲み物で、ハノイの名物として知られています。

これらのユニークなアレンジも、ベトナムロブスタの力強い味わいがあるからこそ成立する組み合わせなのです。

ベトナムロブスタの選び方と保存方法

ベトナムロブスタを自宅で楽しむなら、豆の選び方と保存方法にもこだわりたいところ。まず、新鮮な豆を提供するお店を見つけることが大切です。焙煎日が明記されているものを選び、できるだけ焙煎後2週間以内のものを購入するのがベストです。

ベトナム産のロブスタ豆の中でも、「トゥアナン」などの品種は高品質として知られています。この品種は、ベトナムの中央高地地方に位置するダクノン省のダクミル地区トゥアナン地域が原産地で、高収量品種として評価されています。購入した豆は、光と熱、湿気、酸素から守ることが鮮度を保つポイントです。密閉性の高い容器に入れ、直射日光の当たらない涼しい場所で保存しましょう。

あなたも、ベトナムロブスタの深い味わいを家で楽しんでみませんか?

まとめ:ベトナムロブスタの魅力

ベトナムロブスタは、その強烈な個性と深い味わいで、コーヒー愛好家を魅了し続けています。病害虫に強く育ちやすい特性から、ベトナムの気候風土に見事に適応し、世界第2位のコーヒー生産国としての地位を確立しました。

麦茶や大豆を連想させる独特の香り、強い苦味とコク、そして少ない酸味が特徴のベトナムロブスタ。その個性的な味わいは、伝統的なベトナム式の淹れ方や、エッグコーヒー、ココナッツコーヒーといったユニークなアレンジによって、さらに引き立てられます。

ベトナムのコーヒー文化は、フランス植民地時代から続く歴史の中で育まれ、独自の発展を遂げてきました。それは単なる飲み物ではなく、ベトナムの人々の日常に深く根付いた文化であり、生活の一部なのです。

次回のコーヒータイムには、ぜひベトナムロブスタを試してみてください。その深い味わいと独特の風味が、あなたのコーヒー体験に新たな一ページを加えてくれることでしょう。

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